2016 Fiscal Year Research-status Report
脳FDG-PETおよびMRIと機械学習を用いた高精度な認知症自動鑑別診断
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15K09982
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
坂田 宗之 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (00403329)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知症 / 鑑別診断 / PET / MRI / 機械学習 / アルツハイマー型認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、FDG-PETおよびMRIを用いた認知症自動鑑別診断支援の実現を目的とし、被験者の画像からアルツハイマー病(AD)、前頭側頭型変性症(FTD)、びまん性Lewy小体病など(DLB)、認知症の原因疾患の鑑別を行い、疾患特異度と進行度を出力することで認知症の鑑別診断支援を行う仕組みの実現を目指している。 平成28年度は、前年度までの研究で構築したサポートベクターマシンを用いて健常群(NL)、AD、FTD、DLBの自動識別を行う仕組みの中で、これまで用いていたFDG-PET画像から抽出した糖代謝低下に関する特徴量に加え、T1強調MRIから得られる灰白質の萎縮に関する情報を用いた。MRIの解剖学的標準化を行う際、T1強調MRIを灰白質と白質画像に分離し、それらの画像を標準脳に合うように変形していく中で灰白質密度画像が生成され、脳萎縮の情報が得られる。これらの処理は従来から行われているMRIを用いたvoxel-based morphometryとも同等である。この灰白質の萎縮に関する情報を機械学習の学習データに加え、FDG-PETとMRIの両方を用いた自動識別を実現した。 現在までの実験ではFDG-PETを用いた方がMRIを用いた場合より識別精度が高く、またFDG-PETとMRIの情報を連結して用いてもFTDが約4%向上したのみで、他のクラスの識別率の向上は見られていない。現状の実装ではMRIの特徴量抽出もFDG-PETと同様にAutomated Anatomical Labeling (AAL) 法を用いているが、より高精度な識別のためにはこの特徴量抽出法と機械学習の方法について見直す必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である「FDG-PETおよびMRIを用いた認知症自動鑑別診断支援」について、昨年度の研究によってFDG-PET画像を用いて診断支援の原型となる枠組みが構築され、今年度の研究でそれらがMR画像を併用した形に展開された。研究日応募時点の研究計画・方法におおむね一致した計画と方法で研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究においては、FDG-PET画像に加えて、MRIのT1強調画像などを利用して脳の萎縮の情報を用いた機械学習を行い、鑑別などの精度の向上を目指した。今後は特徴量抽出、サポートベクターマシンのカーネルの選択等、実装レベルでの洗練、データのクリーニング等を行い、さらなる精度の向上を目指す。また、並行して最新の臨床データによる評価や、多施設共同研究のデータへの適用など、より汎用性を上げる方法についても取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
別予算で行われる予定のホスト側のコンピュータの更新時期などと調整するために、研究応募時の計画で計上していた備品購入計画を変更し、ハードディスクエンクロージャの購入を平成29年度に先送りした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ハードディスクエンクロージャを購入し大容量のディスク容量を確保し、中間生成物や解析結果などの保存およびそれらのバックアップができる環境を構築する予定である。
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