2017 Fiscal Year Annual Research Report
Role of Id protein in radioresponse of solid tumor
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15K09983
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安井 博宣 北海道大学, アイソトープ総合センター, 准教授 (10570228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山盛 徹 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (00512675)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Inhibitor of DNA binding / 放射線 / 腫瘍 / 転写調節因子 / p53 / p21 / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年がん遺伝子として注目されている転写調節因子Id (inhibitor of DNA binding)タンパク質の放射線をはじめとする治療に対する細胞応答に果たす役割と、がん組織における挙動を調べることによって、Idタンパク質の治療標的分子としての可能性を明らかにするものである。29年度は、28年度に引き続き特異的Id-1の発現抑制を行うことで起こった放射線感受性の上昇のメカニズムを明らかにする事を目的に検討を行い、下記の成果を得た。 (1)Id-1特異的阻害剤であるSJB2-043においても放射線と併用することで細胞死誘導の増感が観察された。(2)Id-1ノックダウンと放射線照射の併用によって細胞死の一つである細胞老化が有意に増強された。(3)細胞老化のシグナル経路における主要な因子であるp21の発現上昇が、老化誘導に伴って観察された。(4)あまり増感の見られなかったHeLa細胞では、老化誘導やp21の発現上昇がほとんど認められなかった。(5)p53-p21経路とは異なる細胞老化のシグナル経路であるp16に関しては、Id-1ノックダウンの効果は認められなかった。 以上の結果から、p53-p21経路の活性化を介して細胞老化を誘導することがId-1の放射線感受性増強の原因として考えられた。その効果はp53のステータスやp21の発現に依存するものの、全く新しい作用機序により治療効果を高める放射線併用療法が可能であることが示唆された。
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