2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K09995
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
隅田 伊織 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10425431)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 線量分布 / 4次元 |
Outline of Annual Research Achievements |
4次元動体ファントムの開発に関して、RCサーボモータを利用した動体ファントムを開発した。体に対して左右方向、頭尾方向、腹背方向に駆動するものである。サーボモータは入力パルス信号に対するモーター回転角度で制御されるため、駆動距離をミリ単位で制御するために、回転角度と駆動距離の校正が必要となる。当院保有のX線シミュレータを用いて先の校正を実施した。これにより、3次元空間内で任意の駆動をさせることが可能となった。また、動体ファントム上に載せる水等価固体ファントムを制作し、現段階ではフィルムを挿入可能なものとした。動体追尾照射あるいは迎撃照射を想定した線量検証を行うべく、まずフィルムを用いた線量分布検証を実施する。 動くものに対する照射を行った場合、線量分布が計画通りに照射されない。照射方法によって、照射野辺縁部で線量低下(線量分布のBlurring)が発生したり、強度変調放射線治療のように照射中に照射野形状が変化する照射法では照射野辺縁に加えて照射野内部においても線量分布のボケ(Interplay effect)が発生する。現時点では、ビームごとに照射される計画線量分布を時間軸で分割し、照射位置を変化させ、後処理で積算する手法を用いて、ソフトウェア上で線量分布のBlurringならびにInterplay effectを再現できるソフトウェアを開発した。4次元線量分布を検証するために必要な情報として、先に述べたソフト的に変形させた線量分布と、それを4次元動体ファントムで実際に照射した線量分布が必要であると考え、次のステップとしてソフト的に変形させた線量分布の妥当性を実測に基づき評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4次元動体ファントムの開発は完了したが、RCサーボモータからの駆動系に若干の問題があり、駆動時間に伴い位置再現性の低下を認める。現在、モータ回転角度を並進距離に変換するためにゴム製タイヤを利用しているが、これをベルトコンベア等に変更することを検討している。 4次元動体ファントムを用いた線量分布検証を予定しており、現時点では4次元線量分布をソフト的にコンピュータ上で作成できるソフトウェアを開発し、今後の実験のための正当性評価で利用する予定である。 したがって、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
4次元動体ファントムの駆動距離に関する位置再現性の向上が必要なため、ファントム駆動部分の変更(ゴム製タイヤからベルトコンベアへの変更)を予定している。 4次元線量分布を計算により作成可能なソフトウェアを開発したため、計算線量の正確性をフィルムを用いた実測により証明する。 強度変調放射線治療で使用する極小照射野サイズのビームに対応すべく、極小サイズの線量計としてプラスティックシンチレーションファイバーを利用し、線量検証可能なシステムを構築する。線量計測が可能と判断された段階で、4次元動体ファントムに載せる水等価固体ファントムを改良する(現時点ではフィルムを挿入する仕様であるが、シンチレーションファイバーを挿入可能とすべく、穿孔加工を施す)。
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Causes of Carryover |
4次元動体ファントムを制作する際の旋盤加工等の工作費用が想定よりも少なくて済んだこと、データ蓄積・解析用ノートパソコンでの処理能力が現時点の解析段階では不満のないスペックであったことから未購入であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4次元線量分布の解析には多くのメモリを消費する計算が想定されるため、高スペックなノートパソコンが必要となる。シンチレーションファイバーを挿入可能とするために水等価固体ファントムの穿孔加工が必要となる。この2点が今年度に追加される。
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