2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞機能局在に基づいた陽子線治療後残肝機能評価モデルの開発
Project/Area Number |
15K10005
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
荻野 浩幸 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60315885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝本 雄太 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20144719)
岩田 宏満 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40611588)
原 眞咲 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50244562)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 肝細胞癌 / 陽子線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
50例の陽子線治療後1年以上経過した患者の治療計画時の病変部の囲い込みの確認と、治療後EOB-MRIの融合を行い、定量化解析ソフトを開発し、そのうち10例について継時的な変化の定量化を行った。また、MRI画像とアシアロシンチ画像の融合を行うためのソフト開発の検討を開始した。 これまでの検討ではEOBの細胞取り込み低下は陽子線照射後早ければ1か月で、遅くとも3か月までに腫瘍周囲および陽子線入射経路に出現し、その後内部の信号低下が増強するとともに徐々に範囲が縮小する現象を観察している。 信号低下部分も周囲の非低下部分に対しての信号低下は認める一方で、造影前画像との比較では信号が上昇していることを観察しており、血流自体は保たれている一方で機能が低下している状態を想定している。 早期に低信号となる部分の照射線量にはある程度の閾値が想定される一方で、その閾値よりも低い線量で肝細胞のEOB取り込み能の低下が疑われる症例があることも判明した。また、同一患者においても異なる入射方向ごとに信号低下に差がでる患者もおり、同一患者においても肝臓全体が同一の放射線感受性であるとは限らないことが推定される。 従来から肝硬変患者の肝細胞は放射線感受性が高いことが知られているが、現段階ではChild-Pugh分類と信号低下までの発現時間や出現範囲に関しては高い相関を示さない可能性もあり、高感受性と思われる患者から肝細胞に対する感受性を決定する因子を今後探っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討で陽子線照射線量とEOB取り込み能の低下にはある程度の相関があることを推定しているが、その一方で肝臓の陽子線照射後のEOB取り込みの低下にはある程度の個人差があることがわかり、また、同一患者であっても部位により信号低下の程度に差が生じる可能性のあることがわかった。 陽子線に対する感受性に対する患者ごとの違いと、同一患者における局所ごとの差の因子が解明できれば、陽子線照射を行う場合の入射方向などを決定する際の残肝機能を温存するための方針決定に使用できる可能性もあると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
陽子線に対する感受性の高い患者の線維化マーカーなどの血清因子などが予測因子となりうるのかを検討し、細胞密度を反映している可能性のあるアシアロシンチと、EOB-MRIの信号低下部分の比較を行うことで細胞局在と陽子線感受性に相関があるのかどうかを検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
当初計画では解析ソフトによる解析をアシアロシンチと融合した画像まで用いて行う予定であったが、MRI画像解析を詳細に行ったため、アシアロシンチとの融合画像解析を次年度以降に変更したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在行っているMRI解析をさらにすすめるとともに、アシアロシンチとの融合画像解析のためのソフト開発を行う。
|