2016 Fiscal Year Research-status Report
強度変調型重粒子線治療の最適化に向けた治療計画技術の開発
Project/Area Number |
15K10014
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
寅松 千枝 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90421825)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 粒子線治療 / ペンシルビームスキャニング |
Outline of Annual Research Achievements |
粒子線治療のスキャニング照射技術は加速器から送られてきたペンシルビームを電磁石を用いてビームの方向を変えがんの病巣を塗りつぶすように照射する最先端の技術である。従来の方式に比べて腫瘍の線量集中性を高めながら正常組織への線量を減少させることができ、より安全な手法として期待されている。一方で、ブラッグピークを有する粒子ビームは体内の不均質性の影響を受けやすく、特に、細いペンシルビームは少しの位置誤差でも線量分布が乱れやすい。本研究では、体内不均質性の影響を受けにくいビーム配置を設定することで治療計画のロバストネス(堅牢性)を高める事をめざし、実施してきた。 これまでに本研究では、ビーム経路上においてビーム方向と垂直な方向への不均質性が線量分布へ与える影響を定量的に評価するための指標となる、Heterogeneity Number(HIインデックス)を導入し、頭頸部がん患者のCT画像データから最適なビーム配置を決定する手法の開発を行ってきた。本研究で作成したビーム角度選択手法の評価としては、過去に粒子線ペンシルビームスキャニング照射による治療を受けた10名の実患者のCT画像データを用いて検証した。その結果、本手法の効果を実証することができた。本研究の最終的な目標は実臨床への応用であり、計算速度の高速化、危険臓器への線量制限を含めたビーム角度選択、最適な照射野の組み合わせの選択法など、いくつか課題は残っているが、本手法の効果はこれまでに論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で作成したビーム角度選択手法の効果を、実患者のデータを用いて検証することができた。実臨床に適応するための課題は残っているが、本手法の効果の実証まで行った。 実績として、学会や論文での発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
実臨床で使用することを目指し、計算速度の高速化をすすめている。
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Causes of Carryover |
自作したプログラムで作業を効率化できたため、人件費・謝金として計上しておいた分が未使用となった。また、学会参加への旅費を所属組織の資金で賄えたため、旅費として計上していた分が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、本研究成果を臨床使用に用いるため、治療計画装置のプラグインの開発を行う。そのための人件費・謝金・旅費として使用する計画である。
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