2017 Fiscal Year Research-status Report
放射線治療後再発した肺癌組織は、治療前と分子生物学的プロファイルがどう異なるか
Project/Area Number |
15K10017
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
藤田 史郎 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, 研究員 (60612140)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 次世代シークエンサー / 非小細胞肺癌 / 放射線 / 分子標的薬 / がん遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌の大多数を占め、現在本邦で罹患患者数が増加している非小細胞肺癌に関する研究である。非小細胞肺癌に対しては、完治を目的として定位放射線療法あるいは化学療法と併用した放射線療法がおこなわれることがある。少なからずこれら治療後に再発をみるのであるが、現状では、放射線治療前に採取した癌細胞の分子生物学的プロファイルを参考にした上で、分子標的薬を含む抗がん剤を用いることとなる。しかし、放射線療法により癌細胞のプロファイルが変化している可能性がある。 本研究では、当院にて定位放射線療法を施行しのちに再発をきたした症例群と、化学療法と放射線療法を併用した加療にて一旦奏効した後に再発をきたした症例群の2群において、それぞれ解析する検体を選定し解析を行う。具体的には、治療前に採取した検体と治療後再発をきたした際採取した検体の二つについて腫瘍DNAやRNAの抽出、ならびに次世代シークエンサーを用いた解析を行う。合計16例を予定として、研究機関は2015年4月から3年を予定していたが、所属組織の閉鎖などから研究が遅れており、現在も解析を進めている。 これまでに、対象患者さん14名の同意のもと、放射線治療前14検体、治療後16検体のシークエンスを施行した。特に放射線治療前の検体のDNA断片化が進んでおり、何度も条件を変更してDNA抽出やライブラリー作成を行ってきた。どうしても十分にシークエンス出来ない検体があり、この過程で今回使用している次世代シークエンサーのIon Proton Systemに固有のシークエンスエラーに遭遇し対応を要したことから、これらのエラーが発生する背景などを調査し、既に論文発表した。現在最終的な検証と論文作成を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究施設の移転の問題が解消し、補助事業期間の延長を認可いただいたことで、実験計画自体の遅れはあるものの大きな問題ではなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究施設の移転が一番の課題であったが、これは完了し、解析結果は得られ、現在は引き続き解析し論文化をすすめている段階にある。
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Causes of Carryover |
検体自体のDNA断片化の問題があり解析が進まなかったことに加え、もともとの所属組織であった神戸の先端医療センターが2017年10月をもって神戸市立医療センター中央市民病院に統合となり実験施設も閉鎖となったため、現在の所属である愛知県がんセンターへ新たな実験拠点を築くことに時間を要し、実験自体を進めることがしばらく出来なかった。また、Ion Proton System固有のシークエンスエラーについての調査研究にも時間を要した。
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