2018 Fiscal Year Annual Research Report
Genomic alterations of non-small-cell lung cancer following radiotherapy
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15K10017
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
藤田 史郎 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 研究員 (60612140)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 次世代シークエンサー / 非小細胞肺癌 / 放射線 / 分子標的薬 / がん遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、放射線療法を含む治療後に再発をきたした症例を対象として、治療前のがん組織と治療後再発病変の組織とで次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析を行い、治療により新たに生じた遺伝子変異の数や種類などを調べた。研究期間は2015年4月から3年を予定していたが、所属組織の閉鎖などから研究が遅れ4年を要した。特に放射線治療前の検体のDNA断片化が進んでおり、何度もDNA抽出やライブラリー作成を行ったがどうしても十分に解析出来ない検体があり、この過程で今回使用している次世代シークエンサーのIon Proton Systemに固有のエラーに遭遇し対応を要したことから、これらのエラーが発生する背景などを調査し論文発表した。 治療前と治療後再発時の検体につき、DNA配列を十分に解析できた3例(合計7検体)につき解析結果を論文化し、オープンアクセスのかたちで発表した。内容としては、放射線治療を含む治療後のがん組織では、もともとの治療前と比べ塩基欠失変異が多くみられ、治療後に新たに出現した変異のうちの76.2%を占めていた。一塩基置換変異については塩基欠失の1/3ほどの数であった。このような欠失変異はエクソン部分に生じると高い確率でフレームシフトを惹起し遺伝子産物の機能を大きく損ねることが多い。よって、放射線治療後のがん組織では、治療前よりも遺伝子変異が機能にも影響を強く与えうるかたちで蓄積されていることが示唆された。 また、放射線治療前はわずか組織全体のうち1.7%ほどのアレル頻度でしかみられなかったKRAS G12Cの変異が、治療後の検体では49.5%に上昇しており、KRAS変異のアレル頻度が変化しうるという最近の報告を裏付ける結果も得られた。
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