2015 Fiscal Year Research-status Report
微量検体からの遺伝子変異診断による消化管間質腫瘍の新規治療戦略
Project/Area Number |
15K10038
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
萩原 信敏 日本医科大学, 医学部, 助教 (00328824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 逸郎 日本医科大学, 医学部, 講師 (10287740)
松谷 毅 日本医科大学, 医学部, 講師 (50366712)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 消化管間質腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃などの消化管に多く発生する消化管腫瘍の一つである消化管間質腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor : GIST)の腫瘍細胞DNAはホットスポット(多発域)Hotspotと言われるある特定部位に遺伝子変異が多いことが知られている。その特徴的なDNA変異遺伝子の一つであるKIT遺伝子のエクソン11の特定領域に着目して、本研究をすすめている。研究目標としては、微量な腫瘍由来のDNAを高感度に検出する手法の開発を主眼においている。本年度は、微量なDNAからKIT遺伝子のエクソン11領域の遺伝子増幅をpolymerase chain reaction : PCR(以下、PCR)で高率よく行うための準備段階として適切なPCR反応が可能な条件設定を行った。 当初は培養細胞から抽出したDNAを鋳型DNAとして用いて、適切な条件設定下にて良好なDNA増幅が得られることを確認した。 その後臨床検体を用いて検体からの抽出DNAに対しても、前述した設定条件下でのPCRによるターゲット領域のDNA増幅が確認できた。さらにGIST本体の腫瘍部分のみを分離後DNA抽出を行い腫瘍成分を多く含有するDNAを用いて、同様に良好な遺伝子増幅が可能であった。 PCR増幅後にDirect sequencingを行うことでDNAの遺伝子配列を決定することができるため、当初は細胞から抽出したDNAから増幅したPCR産物をDirect sequencing法にてDNA配列を決定して正常配列であることを確認した。同様の手法にて、臨床検体から抽出したDNAの遺伝子配列を検討したところ、複数にKIT遺伝子のエクソン11領域の遺伝子配列の異常が見つかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とするKIT遺伝子のエクソン11領域の遺伝子増幅をpolymerase chain reaction (PCR)で高率よく行うための、最適なPCR反応の条件設定が可能であった。本研究初期において、基礎実験としての特定領域に対しての良好な遺伝子増幅を得ることが最も重要な課題であったため、次の実験段階にすすむことが可能となった。 さらに腫瘍組織からのDNA抽出を行い、そのサンプル中でターゲットとしている変異DNAの同定もできたため、今後のコントロールにも応用可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、実験計画に従い特定遺伝子変異を高感度に検出可能な実験系の確立のため、 希釈率の異なったコントロールDNAを用いて各種検出系の感度や特異度の検討を行う。
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Causes of Carryover |
27年度にコントロールDNAの作製を行うための各種酵素や機器などが必要であったが、実験の効率性を考えて腫瘍組織の分析を先に行ったため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由から、コントロールDNAの作製やそれを用いた実験系の感度の検討などは次年度以降に行うことととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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