2015 Fiscal Year Research-status Report
移植膵島障害におけるHMGB1とmiRNA375の相互作用の解析
Project/Area Number |
15K10040
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
伊東 威 福岡大学, 医学部, 講師 (70634400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 正太 福岡大学, 医学部, 教授 (90549338)
西中村 瞳 福岡大学, 医学部, 助教 (90597692)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膵島移植 / マイクロRNA / HMGB1 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は過去の検討より、マウス膵島移植モデルで、経門脈的肝内移植後に移植された膵島からHigh-Mobility Group Box 1 (HMGB1)が肝単核球を活性化し、IFN-γを介して移植膵島が障害を受けるメカニズムを明らかにした。さらにHMGB1が惹起する炎症反応を制御すると膵島移植の成績が改善することを明らかにした。近年、マイクロRNA (miRNA)が細胞内の遺伝子発現抑制を引き起こすRNA 干渉分子として注目されている。その中でmiRNA375 は膵島に特異的に発現しており、膵島の構成、インスリン分泌、膵β細胞の増殖等を調節していることが報告されており、米国の共同研究施設で施行した臨床同種膵島移植・臨床自家膵島移植後のレシピエント血清サンプルの解析では、移植直後よりレシピエント血中のmiRNA375 が上昇することが明らかとなった。本研究ではmiRNA375 に着目し、この血中に循環しているmiRNA375 が新たな細胞間コミュニケーションの液性因子として作用し、HMGB1 が惹起する移植早期の炎症反応を増強もしくは減弱する活性を有するのではないかと仮説を立てた。 膵島移植早期炎症反応のモデルであるHMGB1 静注後の炎症反応をフローサイトメトリー (FACS) で解析した。申請者らの過去の報告のように、HMGB1 をマウス尾静脈より投与するとナイーブコントロールと比較して、肝内にGr-1+CD11b+細胞とGr-1-CD11b+細胞が集積しIFN-γを産生した。一方、HMGB1 投与時にmiRNA375 も同時投与すると肝臓内にGr-1+CD11b+細胞とGr-1-CD11b+細胞は集積するものの、それらの細胞からのIFN-γ産生は抑制された。以上の結果からmiRNA375 はHMGB1 が惹起する炎症を減弱する作用を有する事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HMGB1静注による肝臓内炎症反応に対するmiRNA375の抑制効果はFACSにて解析できたが、当初予定していたマウス肝内膵島移植後の血中miRNA375 と血清HMGB1 の推移・相関の解析については今から実験を施行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度および来年度で下記の実験を予定する。 実験1: マウス肝内膵島移植後の血中miRNA375 と血清HMGB1 の推移・相関を解析する。 実験2: マウス肝内膵島移植後早期炎症反応におけるmiRNA375 の作用を解析する。 実験3: マウス同種同系膵島移植におけるmiRNA375 投与による血糖改善効果を解析する。 実験4: マウス同種異系膵島移植におけるmiRNA375 投与による血糖改善効果を解析する。
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Research Products
(2 results)