2017 Fiscal Year Research-status Report
質量顕微鏡を用いた乳癌組織の脂質解析による治療効果予測因子、予後因子の探索
Project/Area Number |
15K10048
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
小倉 廣之 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50402285)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乳癌 / 質量顕微鏡 / 脂質組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
高度の肥満者は乳癌発症率が高いこと、肥満を伴う乳癌罹患患者の予後はそうでない者より有意に不良であること、などという疫学的事実が知られており、脂質と発癌の関係には以前より関心が寄せられていた。体内における脂質の蓄積と一部の乳癌発生には深い関連があると考えられているが、乳癌癌部における脂質組成を解析した研究が未だほとんど報告されていないため、癌部の脂質組成を解析する研究は重要な基礎データとなると考えられる。 今回、我々が解析に用いる質量顕微鏡は、標本となる組織切片に細径レーザーを照射しイオン化することで、局在に含まれる分子を検出・可視化する手法であり、連携研究者瀬藤教授が開発に携わったものである。これまで彼らは、質量顕微鏡法を用いて、リン脂質、リゾPC、トリグリセリド、糖脂質、セラミドなどこれまで脂肪酸長を分離した精度での解析・可視化に成功してきた。(Sugiura et al.,Neuroscience, 2011)、(Hanada et al., Anal Bioanal Chem,2012)。平成25年度には乳癌組織検体を用いた質量顕微鏡法解析も報告しており、乳癌癌部に特徴的な脂質合成が示唆される結果を報告している。 また、日常臨床において乳癌は免疫組織学的結果に基づいた4つのサブタイプ分類によって治療方法や予後がわけて考えられるのが通常である。同じサブタイプに分類される乳癌は、類似した生物学的特性をもつが、この4つの分類では不十分で、同じサブタイプに属する乳癌でも異なる様相を呈する場合がある。そのため、治療方針決定に直結する乳癌を細分化するための新機軸が探し求められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、1)臨床検体の収集、資料調整方法の最適化、2)質量顕微鏡を用いた乳癌臨床検体の網羅的解析、3)サブタイプ分類別に特徴的に検出される脂質の探索 を目標としてきた。現時点では臨床検体の収集は終わり、質量顕微鏡による乳癌検体の網羅的解析を施行したところ、解析困難な症例があった。原因としては保存方法や解析方法の問題が挙げられるが、他の研究での検体を用いた質量顕微鏡の解析は問題ないため、なんらかの検体の問題と考えられる。新たに採取している検体を用いて、来年度以降、サブタイプ別の特徴的な資質の探索を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
トリプルネガティブ乳癌以外のサブタイプ別の特徴的な資質の探索が終了し次第、抗癌剤治療効果予測および予後予測マーカーである多遺伝子解析結果と相関する脂質の探索、予後予測マーカーである薬物療法効果治療判定と相関する脂質の探索に取り掛かる予定である。
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Causes of Carryover |
検体の取集に時間を要しているため、遺伝子解析に関して本年度に施行する予定である。
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