2015 Fiscal Year Research-status Report
グルカゴン遺伝子ノックアウトマウスを用いた膵内分泌腫瘍に対する治療・予防法の開発
Project/Area Number |
15K10049
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菊森 豊根 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90402635)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 膵内分泌腫瘍 / グルカゴン / EMT / mTOR阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵神経内分泌腫瘍(pNET)は膵島細胞から発生する比較的稀な腫瘍であり、機能性と非機能性に分類される。比較的緩徐に進行することが多いとされているが、時間経過とともに肝転移を来すことが多く、悪性の経過をたどることが多い。近年pNETに対するmTORを標的とするエベロリムスなどの分子標的薬の効果が確認されて臨床に導入されてきているが、治療効果はまだ限定的である。また遺伝性腫瘍症候群におけるpNETの発生抑制効果を臨床的に示された薬剤はまだない。
平成27年度の研究計画として挙げた、継代維持されているグルカゴン遺伝子ノックアウトマウスの膵島過形成からpNET形成、さらに転移巣形成にいたる進行過程における細胞内分子生物学的変化を検討するテーマについては、現在、成長段階の異なるノックアウトマウスの各種臓器を摘出して悪性化の各段階の膵島細胞における、細胞増殖因子(AKT, mTORなど)血管新生因子(VEGFなど)、抗アポトーシス経路の活性化などを組織標本の免疫染色により検討している。またもう一つの、継代維持されているグルカゴン遺伝子ノックアウトマウスに発生した膵腫瘍に対する各種分子標的薬剤の効果を検討するテーマについては、現在、ノックアウトマウスにmTOR阻害剤であるエベロリムスを経口投与しつつ、腫瘍の形成阻害作用や、縮小効果を検討している。 また、平成28年度以降の研究計画に挙げた、薬物投与により膵腫瘍の発生抑制が認められるかどうかを検討するテーマに対しては、現在エベロリムスを生後直後より投与する実験を開始している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験については、当該研究課題が開始される以前より、研究施設で継代維持されているために、実験材料の入手、薬剤による介入が容易であるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.継代維持されているグルカゴン遺伝子ノックアウトマウスの膵島細胞の悪性化における細胞内遺伝子発現を網羅的に検討する。 2.グルカゴン遺伝子ノックアウトマウスに発生した膵腫瘍に対するEMT抑制による転移抑制効果を検討する。 以上2つの課題について、研究を推進する。
|
Causes of Carryover |
平成27年度の研究計画実施に対して実際に試薬等に必要とした費用が、想定より少なかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物実験、薬物介入試験などの研究計画を遅滞なく進捗させるために、実験動物用資材、実験試薬等に適切に使用する。
|