2015 Fiscal Year Research-status Report
化学療法施行乳癌におけるOSNA法によるセンチネルリンパ節転移診断の有用性の検討
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15K10051
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島津 研三 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30448039)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳癌 / 術中迅速診断法 / センチネルリンパ節生検 / サイトケラチン19 |
Outline of Annual Research Achievements |
術前化学療法を施行した88症例における乳癌手術の際に摘出された115個のセンチネルリンパ節あるいは185個のノンセンチネルリンパ節(腋窩リンパ節郭清にて得られたリンパ節)を4分割し、交互に2切片ずつOSNA法による転移検索と通常の病理診断による転移検索を行った。その結果、すべてのリンパ節における通常の病理診断を基準にしたOSNA法の精度を検討した。OSNA法は転移診断におけるcut-off値は、従来の報告(術前化学療法を行っていない症例におけるcut-off値、+:250以上、++:5000以上を用いた)。その結果、全リンパ節のおける転移診断精度は正診率、感度、特異度はそれぞれ92.3%, 88.5%, 93.3 %であった。一方、センチネルリンパ節に限った正診率、感度、特異度は87.8%,75.0%,91.2%であり、ノンセンチネルリンパ節に限った場合はそれぞれ95.1%,97.3%,94.6%であり、OSNA法の精度はセンチネルリンパ節がノンセンチネルリンパ節に比べて劣る結果であった。特に微小転移の感度の低いために転移全体が低くなっていた。リンパ節転移におけるCK-19mRNAの発現がセンチネルリンパ節ではノンセンチネルリンパ節に比べ有意に低下していることがmRNA in situ hybridizationによって明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
術前化学療法施行症例および非施行症の両方においてセンチネルリンパ節とノンセンチネルリンパ節の転移部位でのCK-19mRNAの発現についてmRNA in situ hybridizationによって検索を行ったところ、センチネルリンパ節の転移部位のおけるCK-19mRNAの発現はノンセンチネルリンパ節のそれに比べ低く、その傾向は術前化学療法施行症例において有意に非施行症例よりも顕著であった。CK-19蛋白の発現においてはいずれの状態でも発現に差はなかった。化学療法のCK-19mRNAの発現への影響をさらに検索するため術前化学療法前に針生検にて採取した乳癌組織と化学療法施行後に手術にて得られた乳癌組織におけるCK-19mRNAの発現と化学療法を行っていない症例の術前術後の乳癌組織におけるCK-19mRNAの発現をmRNA in situ hybridizationによって比較したところ化学療法施行前後のほうがCK-19mRNAの発現の低下が非施行症例のそれにくらべ有意に低下していることが分かった。以上よりOSNA法における感度の低下は化学療法の影響による転移部位におけるCK-19mRNAの発現の低下が原因と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
統計解析を有効に行うために当初の目標症例数を100から150に変更して解析を行う予定である。現在までのmRNA in situ hybridizationによる研究で化学療法施行症例のおける転移部位でのCK-19mRNAの低下が確認されたので、OSNA法による転移診断の至適はcut-off値を新たに設定する必要がある。CK19 mRNAのコピー数と転移サイズとの比較を行い、従来のcut off値(2mm以上が5000以上、0.2mm以上が250以上)を変更してより適切な感度、特異度となるようROC曲線によって新たに設定する。また、症例数の半分の75症例にてOSNAのmRNAコピー数を含め術前までに分かる臨床病理学的因子を用いて非センチネルリンパ節の転移を予測モデル(scoring systemやnomogram)を作成し、残りの75症例をもちいてvalidationを行い、より精度の高い予測モデルを作成する。
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Causes of Carryover |
研究が順調に進んだため消耗物品が節約できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費に組み込み使用する。
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