2015 Fiscal Year Research-status Report
乳癌術前化学療法後の病理学的完全奏功(pCR)の術前診断システムの開発
Project/Area Number |
15K10052
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金 昇晋 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90346213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 淳 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10625841) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳癌 / 術前化学療法 / pCR / 予測因子 / 造影MRI / サブタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、術前化学療法を受ける乳癌患者において、術前化学療法施行前後での乳腺造影 MRI 所見と、化学療法施行前に採取した針生検サンプルを用いて乳癌組織中の既存および新規の種々 のマーカーを測定することにより、術前化学療法によって病理組織学的完全奏功(pathological complete response, pCR)がえられているかどうかを手術前に高い精度で診断できるシステムの 開発を目的とする。 平成 27 年度は、pCR 術前診断システムの開発として、まず“後ろ向き検討” を行った。 2005 年 12月~2013年12月までに大阪大学医学部附属病院乳腺内分泌外科において、paclitaxel-FEC 療法により術前化学療法を行い、その後に手術を施行したStage II -IIIの患者276人のうち、当院で化学療法の前後で乳腺造影MRI検査を施行した229例で評価を行った。229例中52例(22.7%)がpCRとなった。このpCRと相関する臨床病理学的因子を検討したところ、閉経の有無、組織学的グレード、ホルモン受容体、HER2、Ki67、NAC前の造影MRIでの形状、辺縁、造影率などがpCRと有意に相関した。以上の項目にさらに遺伝子発現解析によるsubtype分類(intrinsic subtype)を用いてpCR予測のROC解析を行い、(i)ホルモン受容体+MRIの形状、あるいは(ii)この2項目にHER2とKi67を加えた場合、さらには(iii)症例数は少数になるがMRIの形状にintrinsic subtypeを用いた場合がpCRの予測モデルとしてはAUCが高いことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、平成 27 年度は、pCR 術前診断システムの開発として“後ろ向き検討” を行った。 2005 年 12月~2013年12月までに大阪大学医学部附属病院乳腺内分泌外科において、paclitaxel-FEC 療法による術前化学療法の前後で乳腺造影MRI検査を施行した229例で評価を行った。これによりpCRと有意に相関する臨床病理学的因子を明らかにした。また従来の臨床病理学的因子に加え、画像所見(術前化学療法前の造影MRIでの形状、辺縁、造影率など)も強くpCRと相関することも明らかにした。また、pCRの予測モデルの作成も行い、その結果を論文報告することができた(13. 研究成果参照)。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、症例を約100例追加し、その結果をinternal validationとする。特に、intrinsic subtypeは後ろ向き検討でも、その有用性は明であったが、測定可能であった症例数が少なかったので、症例を増やして検討を行う。さらに、新たな予測マーカーとして、当科で行っている遺伝子解析や、画像検査ではcomputer-aided diagnosis (CAD) (フィリップス社、登録商標:DynaCAD )を用いた検討を加える。 また、偽陰性および偽陽性症例について詳細な検討を行う。clinical CR と診断したものの実際は non-pCR であった偽陰性例について、遺残癌の量、性状、分布などの病理検討を行い、その特徴を明らかにする。さらに、clinical non-CR であったにかかわらず実際は pCR が得られた症例についても、CADシステムを利用した造影 MRI の診断についても検討を行う。
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Research Products
(1 results)