2016 Fiscal Year Research-status Report
乳癌術前化学療法後の病理学的完全奏功(pCR)の術前診断システムの開発
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15K10052
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金 昇晋 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90346213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 淳 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10625841) [Withdrawn]
多根井 智紀 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80771518)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳癌 / 術前化学療法 / cCRとpCRの乖離 / 予測因子 / 造影MRI / サブタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、術前化学療法を受ける乳癌患者において、術前化学療法施行前後での乳腺造影 MRI 所見と、化学療法施行前に採取した針生検サンプルを用いて乳癌組織中の既存および新規の種々 のマーカーを測定することにより、術前化学療法によって病理組織学的完全奏功(pathological complete response, pCR)がえられているかどうかを手術前に高い精度で診断できるシステムの 開発を目的とする。 平成 28 年度は、前年度の検討からさらに症例を増やし、術前化学療法後の乳腺造影MRI検査でclinical CR (cCR)と判定された結果と、手術後の病理検査によるpCRとの乖離について“後ろ向き検討” を行った。 2003年4月~2014年12月までに大阪大学医学部附属病院乳腺内分泌外科において、paclitaxel±trastuzumab - FEC 療法により術前化学療法を行い、その後に手術を施行したStage II-IIIの原発性乳癌患者385人のうち、当院で化学療法の前後で乳腺造影MRI検査を施行した266例を対象に評価を行った。266例中101例(38.0%)がcCRとなったが、このうちpCRとなった症例は48例(47.5%)しかなく、約半数において乖離がみられた。このcCRとpCRの乖離に関して、有意な相関因子がないか、臨床病理学的因子を中心に検討を行った。その結果、閉経の有無、組織学的グレード、ホルモン受容体、Ki67、そして術前化学療法前の造影MRIで腫瘍の形状が、有意にcCR-pCRの乖離に相関することが明らかになった。特にホルモン受容体とMRIの形態分類を組み合わせると、より高い精度で乖離を予測することができ、pCRの術前予測診断には有用であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2003 年 4月~2014年12月までに当科において、paclitaxel±trastuzumab-FEC 療法により術前化学療法を行い、その後に手術を施行したStage II-IIIの患者385人のうち、当院で化学療法の前後で乳腺造影MRI検査を施行した266例で評価を行った。266例中101例(38.0%)がcCRとなったが、このうちpCRとなった症例は48例(47.5%)であった。cCRとpCRが相関する因子を検討したところ、閉経後、組織学的グレード 3、ホルモン受容体陰性、Ki67 20%以上、術前化学療法前の造影MRIで腫瘍の形状がround or ovalタイプのものが、それぞれそうでない腫瘤に比べて有意にpCRと相関した。また、MRIの形態分類と、ホルモン受容体およびHER2遺伝子増幅による臨床的subtype分類を組み合わせて検討すると、luminal typeかつirregular shapeの腫瘤は、cCRを示した28例中18%しかpCRになっていなかった。一方、HER2/triple negative typeかつround or oval shapeな腫瘤は、cCRを示した26例中81%の症例がpCRになっており、MRIの形状とsubtypeを併用することにより高い精度でpCRの予測が可能になることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、遺伝子解析によるintrinsic subtypeを加え検討を行う。さらに、新たな予測マーカーとして、当科で行っているmulti-gene assayを用いた検討も加える。 また、偽陰性および偽陽性症例についても検討を行い、それらの症例を予測する因子を明らかにしたい。
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Research Products
(2 results)