2017 Fiscal Year Research-status Report
ブタ脱細胞化肝をbioscaffoldとした細胞充填補助肝グラフトの開発
Project/Area Number |
15K10066
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
浦橋 泰然 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90277161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 尚哉 自治医科大学, 医学部, 研究員 (50382891)
寺谷 工 自治医科大学, 医学部, 講師 (70373404)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脱細胞化臓器 / 臓器再生 / 大動物実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、実験用ブタ臓器を用いて脱細胞肝を作成し、これに分離した肝細胞、血管内皮細胞、間葉系幹細胞などを経脈管的に注入し細胞充填を行ない、得られた細胞充填型肝移植用グラフトをブタ生体内に異所性肝移植術を施行することを主な目的とする。免疫抑制剤投与下に術後7日間生存実験し、病理解剖にて得られた所見を元に、①細胞充填および移植可能な脱細胞肝の作製条件 ②肝組織の成熟に必要な肝組織構成細胞(肝細胞、血管内皮細胞など)の必要量 ③肝組織再生のための細胞充填の至適方法 ④ヒト臨床応用を想定した安全かつ確実な手術手技の確立を目指した。平成29年度の研究活動は、前年度に引き続き、上記①に関して、脱細胞化担体作製後の保存の方法を検討し、2種類の異なる方法で長期保存後にも細胞充填が可能となることを確認した。②、③に関しては、循環培養装置を作製し、これに脱細胞化担体を接続、細胞充填を行うことにより、移植前の至適細胞充填方法の検討を行った。しかし充填する細胞数が少ない影響か、肝組織化の状態まで至らないのが現状である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
決すべき大きな課題は、充填する細胞ソースの確保と至適充填方法の開発である。特に充填する細胞数の確保に難渋しており、従来までの培養方法では大動物実験に使用できるまでに多大な時間と労力がかかってしまうのが現状である。これまでは1回の移植実験のために、通常の培養ディッシュで1000枚以上を1-2人の人数で培養すると4-6ヵ月の時間を要していた。しかし現時点では本方法で実験を継続する他なく、新たなプロトコールによる培養方法と脱細胞への最適な充填方法の確立を模索している。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞ソースとして肝組織を構成する細胞の大量培養が困難である場合は、具体的な解決方法として「受け皿」としての脱細胞化臓器の縮小化を図るしかないと思われる、すなわち小さなサイズのブタ臓器を使用して作製し、細胞充填を行う方法で、現在検討中である。 さらにこれらの細胞の大量培養が、従来までの方法だけでは困難であり、この条件を克服する方法を見出さない限り、貴重な助成金が有効に使用できなくなると予想されたため、当初の実験方法を再検討し、研究期間を延長して、余剰分を次年度に使用させていただこうと判断した。また研究者の研究施設移動に伴い、新たな共同研究施設が確保できるため、大量培養のための時間的、人的負担は軽減される見通しである。今後は前年度から継続中の小さなサイズのブタ臓器を使用して脱細胞化臓器を作製し、細胞充填を行う方法を検討中である。また循環培養に関しては、設定条件(流量、培養液内容など)を模索しながら、最適な条件を見つける実験を既に開始している。次年度はこれらをある程度解決したうえで、実際に大動物に移植して検討する計画である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、本研究施行までの前準備に時間的、人的負担がかかるため、研究期間内に貴重な助成金が有効に使用できなくなると予想されたためである。これを解決するために研究期間を延長して、余剰分を次年度に使用させていただこうと判断した。今後は新たな共同研究施設が確保できるため、時間的、人的負担は軽減される見通しであり、資金を有効に活用できるものと推測される。
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