2015 Fiscal Year Research-status Report
新規作用機序を持つチロシンキナーゼ阻害法による甲状腺癌分子標的療法の開発
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15K10076
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
武田 湖州恵 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (80345884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 善之 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (10410664)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | チロシンキナーゼ / RET / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
チロシンキナーゼ阻害剤は甲状腺癌を含むがんの分子標的療法として注目されているが、その作用機序は非常に似通っており、全く機序の異なる薬剤はほとんどないのが現状である。これまでの研究で、甲状腺癌の発症に関与するRETキナーゼの活性を、従来の阻害剤とは全く異なるシステインを介した機序により制御できる事が明らかとなった。本研究では、その効果を細胞レベルから実験動物レベルで確立、より有効で副作用の少ない治療法として、ヒトへの応用へ近づけることを目的としている。 これまで、がん遺伝子である活性型RETを遺伝子導入した細胞を用いて、システインを介したRET活性阻害の効果を検討してきた。本年度は、もともと内因性に発現しているRETキナーゼが増殖・移動等に関わることが報告されている乳がん細胞株を用いて、システインを介したRET活性阻害の効果を検討したところ、内因性のRETに対してもシステインを介した機序によりRETの活性化を制御できる可能性が示された。しかし、この細胞において、システインを介した機序によりRETの活性化を制御しても、増殖や細胞移動の抑制効果は弱く、がん遺伝子である活性型RETの場合とはその効果が異なる可能性が考えられた。 またRET活性を抑制できたシステインを持つペプチドと、免疫沈降法などで精製したRETタンパクを、試験管内で反応させ結合を確認することができた。この結合は還元処理によって外れるため、その結合様式がS-S結合であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部当初計画書の内容と、研究の進行の順番が異なっているが、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
がん細胞への効果、試験管内での結合の確認等ができたので、今後は正常細胞への影響と、RET以外のキナーゼに対する影響が見られるかどうかを、検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度の実験が効率よく進んだため、新たな消耗品の購入が減った。 予定していた研究補助員の雇用ができなかったが、研究代表者・分担者で研究を継続した。 先に細胞を使用した研究等を進め、動物実験を行わなかったため動物飼育にかかる費用は不要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は研究の進行に伴い動物実験を計画しているので、その分の費用は平成28年度に使用する予定である。 また平成28年度は研究補助員の雇用ができる事が決まっているため、そのための費用を使用する予定である。
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