2019 Fiscal Year Research-status Report
新規作用機序を持つチロシンキナーゼ阻害法による甲状腺癌分子標的療法の開発
Project/Area Number |
15K10076
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
武田 湖州恵 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (80345884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 善之 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (10410664)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | チロシンキナーゼ / RET / がん / 阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
チロシンキナーゼ阻害剤は甲状腺がんを含むがんの分子標的療法として注目されており、数多くの薬剤が開発され使用されている。しかし、その作用機序は非常に似通っており、全く機序の異なる薬剤はほとんどないのが現状である。 これまでの研究で、甲状腺がんをはじめ複数のがんの発症に関与するRETチロシンキナーゼの活性を、従来の阻害剤とは全く異なるシステインを介した機序により制御できることが明らかとなった。本研究では、その効果を細胞レベルから実験動物レベルで確立、より有効で副作用の少ない治療法として、ヒトへの応用へ近づけることを目的としている。 これまでは、主に、RETキナーゼを導入しがん化したマウス細胞を用いて、阻害剤の効果をみる実験を実施してきた。本年度は、ヒトがん細胞を用いて、システインを介した阻害法の効果を見たところ、甲状腺がん細胞だけでなく、乳がん細胞においても、RETキナーゼ活性およびその下流シグナルを抑制できることが示された。 また、既存のRET阻害剤が効きにくい遺伝子変異(ゲートキーパー変異)を持つRETキナーゼに対する効果をさらに確認した。その結果、システインを介したRET阻害法は、既存の阻害剤が効きにくい遺伝子変異を持つRETキナーゼを発現した細胞においても、細胞増殖が抑えられる傾向があった。しかしその影響を確実に判断するためには、恒常発現細胞の作製が必要であるため、さらに研究の継続を必要とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
システインを介したRET阻害法は、ヒト細胞を使った実験でも有効であることが明らかとなった。目標としていた、新しい治療法の可能性を示すことができたと考える。 しかし遺伝子恒常発現細胞の作製に予想以上の時間がかかり、RET阻害剤が効きにくい遺伝子変異を持つRETを発現した細胞の増殖に有効であるかの効果判定はいまだ不十分である。そのため期間を延長して実験を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
既存のRET阻害剤が効きにくい遺伝子変異を持つRETを発現した細胞に対する効果をさらに検討するために恒常発現細胞の作製を試み、ようやく目的の細胞を得ることができた。今後細胞の増殖に有効であるかの効果を見る予定である。 またシステインを介したRET阻害法を動物モデルへ適応する方法において、まだ投与方法や投与量に工夫が必要であると考えるため、これについても継続して検討する。
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Causes of Carryover |
遺伝子導入細胞の作製に予想以上の時間がかかり、RET阻害剤が効きにくい遺伝子変異を持つRETを発現した細胞の増殖に有効であるかの効果判定はいまだ不十分である。そのため期間を延長して、研究を継続する。
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