2015 Fiscal Year Research-status Report
消化管がんの増殖・進展・転移におけるリンパ管侵襲の役割
Project/Area Number |
15K10106
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
白石 憲男 大分大学, 医学部, 教授 (20271132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
衛藤 剛 大分大学, 医学部, 講師 (00404369)
平塚 孝宏 大分大学, 医学部, 病院特任助教 (20600886)
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 教授 (60315330)
赤木 智徳 大分大学, 医学部, 助教 (80572007)
北野 正剛 大分大学, 法人本部, 学長 (90169871)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リンパ節転移 / リンパ管侵襲 / 遠隔転移 / 分子生物学的解析 / ヒト食道癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
【はじめに】本研究の目的は、消化管癌のリンパ節転移やリンパ管侵襲の発生機序を解明し、その臨床的意義を明らかにすることである。すなわち、3年の研究期間に、癌の予後因子であるリンパ節転移の機序や遠隔転移の有無とリンパ管新生・リンパ管侵襲との関連を分子生物学的手法、免疫組織学的手法、網羅的遺伝子解析、および電子顕微鏡を用いた形態学的手法を用いて解明する。当科では今までに、大腸癌患者におけるリンパ管侵襲とリンパ節転移および予後不良の指標としてのVisinin-like protein-1 (VSNL-1)発現の有用性 (Akagi T, et al. Int J cancer 2012)や、高感度レクチンアレイを用いた大腸癌の糖鎖プロファイリングによる転移、再発に関与するレクチンの同定 (Nakajime K, et al. Cancer Med 2015)を行ってきた。今回は消化管癌の中でも早期からリンパ節転移を来たしやすいとされる食道癌に着目し、リンパ節転移や遠隔転移に関連する遺伝子研究を行う方針とした。 【方法】食道癌患者の治療前生検標本から癌部組織および非癌部組織を使用する。組織より抽出したmRNAを用いて、DNAマイクロアレイ法(Agilent scanner)による遺伝子プロファイリングを解析する。癌部/非癌部の遺伝子発現比を算出し、臨床病理学的因子との関連を検討し、リンパ節転移やリンパ管侵襲に関わる遺伝子を抽出する。 【結果】食道癌患者の治療前生検標本から癌部組織および非癌部組織の採取を行った。現在、33症例の治療前生検標本を採取し、mRNAを抽出、DNAマイクロアレイを行った。 【まとめ】食道癌のリンパ節転移、リンパ管侵襲に有意に相関する候補遺伝子を同定するため、生検標本を用いてDNAマイクロアレイを行った。今後は臨床病理学的因子と遺伝子発現の評価を用い、リンパ節転移やリンパ管侵襲に関わる候補遺伝子の抽出を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンパ節転移やリンパ管侵襲の機序および臨床的意義を明らかにすることを目的とした本研究において、当初の計画より早く、食道癌患者の生検標本の採集を行い、DNAマイクロアレイを行うことができた。今後も引き続き研究計画に沿って研究遂行を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては、3年の研究期間を予定し、癌の予後因子であるリンパ節転移の機序や遠隔転移とリンパ管新生との関連性を分子生物学的手法、免疫組織学的手法、網羅的遺伝子解析、同定された遺伝子の機能解析、および電子顕微鏡を用いた形態学的手法を用いて解明し、その臨床的意義を明らかにしたいと考えている。本年度は、ヒト食道癌組織を対象とし、リンパ節転移、リンパ管侵襲、遠隔転移に関連するtranscriptome解析を行う。病理学的リンパ節転移の有無やリンパ管侵襲の有無を用いてsortingし、リンパ管新生関連遺伝子の同定とそのmRNAレベルとタンパクレベルでの検証、さらには、機能解析を行う。引き続き、がん組織やリンパ節転移組織におけるリンパ管新生因子の発現に関する検討、リンパ節転移組織を用いたリンパ管新生因子の発現を検討する。 (次年度の研究費の使用計画)次年度ではtranscriptome解析の結果から、病理学的リンパ節転移の有無やリンパ管侵襲の有無を用いてsortingし更なる解析を進める予定である。具体的には下記内容である。(1) 病理学的リンパ節転移の有無やリンパ管侵襲の有無を用いてsortingし、リンパ節転移やリンパ管侵襲に関わる候補遺伝子を抽出する。(2) 各候補遺伝子のクローニング、さらに発現ベクターへの組込みを行う。次に、作製されたコンストラクトをヒト培養食道癌細胞株に導入し、導入遺伝子の発現をReal-time RT-PCR及びウエスタンブロット法を用いてmRNA及びタンパク質レベルでの発現を確認する。(3) 食道癌組織において免疫染色を行い、候補遺伝子に関わるタンパク質の発現を確認する。特に、癌浸潤部局面での発現に注目し、リンパ節転移やリンパ管侵襲の有無により発現に差がないかを確認する。 ●本研究期間である3年の間に、消化管がんの増殖・進展に及ぼすリンパ管新生の役割について解析検討する。
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Research Products
(6 results)