2016 Fiscal Year Research-status Report
末梢血を用いた液体生検としての胃癌HER2遺伝子増幅解析法の開発
Project/Area Number |
15K10110
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岡本 和真 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20285258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 大輔 山梨大学, 総合研究部, 教授 (20347446)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 胃十二指腸外科学 / HER2 / バイオマーカー / ddPCR / 遊離DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
非侵襲的で繰り返し施行可能なLiquid biopsyとしての胃癌血漿遊離DNA中HER2増幅の臨床的意義を報告してきた。今回、前年度までの研究結果をもとに、絶対定量が可能なDroplet digital PCR (ddPCR) を用いて胃癌再発患者を中心に治療モニタリングマーカーとしての臨床的有用性を検討した。 対象は30例の健常者、60例の胃癌患者とし、末梢血からの血液サンプルを採取した。胃癌患者については術前と、術後半年毎の血液サンプルから遊離DNAを採取した。HER2の参照遺伝子としてribonuclease RNA component H1 (RPPH1)を用いて、血漿HER2増幅はddPCRを用いたHER2:RPPH1 ratio (HER2 ratio)で算出した。胃癌患者の中で再発を来した17例に関しては治療経過中の血漿HER2 ratioのdynamicsを検討した。 血漿HER2増幅のcut-off値は健常者HER2 ratioのmean+2SDを用いた。血漿HER2 ratioは組織HER2ステータスとの有意な相関を認め (p < 0.001)、感度・特異度はそれぞれ0.733、0.933であった。術後モニタリングが可能であった症例に関しては、組織HER2陽性例であった4例において血漿HER2 ratioは治療効果と相関して推移する傾向を示した。組織HER2陰性例においては13例中7例において再発時のHER2 ratioが陽転化し、その後も継続的な上昇を示す傾向を認めた。 ddPCRを用いた非侵襲的で繰り返し施行可能な血漿HER2 ratioモニタリングはリアルタイムな患者病態の把握を可能にし、術後治療中患者に対してより多くの治療選択を提示出来る可能性がある。今後臨床応用に向けて更なる研究基盤の確立が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究結果をもとにddPCRを用いた解析を引き続き行なったが、再現性を持って患者HER2ステータスを反映している可能性があると考えられた。また絶対定量が可能であるため、今後他施設で行うにあたっても同手法での再現性が得られる可能性が高いと考えられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
血漿HER2増幅解析に置ける治療バイオマーカーとしての研究基盤の確立 切除標本でHER2陰性胃癌と診断され、再発時の血漿HER2増幅解析が陽性となった症例に関して、再発巣の組織採取並びに同組織中のHER2ステータスの再検を行う。 またHER2陽性胃癌の再発時の血漿HER2陰性化症例についても再発巣の組織採取を試みて組織中のHER2診断の再検を行う。これらの結果から血漿HER2診断の妥当性を検証し、血漿HER増幅解析の治療バイオマーカーとしての研究基盤の確立を目指す。
|
Research Products
(3 results)