2016 Fiscal Year Research-status Report
食道癌に対するGSTP1タンパク発現を指標とした新規個別化治療法の開発
Project/Area Number |
15K10111
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
藤原 斉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20332950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 博貴 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00448739)
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20244600)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 食道癌 / GSTP1 / 化学療法感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から施行している免疫染色に関して、術前治療の非施行群ではGSTP1発現の低い症例で有意に予後良好であり(78.5%vs 51.2%, p=0.027)、多変量解析でGSTP1発現は独立した予後因子であった。また術後化学療法を施行した症例では、同様の傾向を認めるものの(81.8%vs 45.0%, p=0.081)、施行しなかった症例では、GSTP1発現により予後に有意な差は見られなかった。 新たに術前化学療法を施行した群で免疫染色を施行し、術後の組織標本でのGSTP1発現によって5年全生存率には有意な差を認めなかったが、術後の組織標本において術前からのダウンステージが得られた症例は、GSTP1発現の低い群で有意に多い結果であった(p=0.0416)。昨年度の報告と同様に、術前の生検検体においても免疫組織染色による評価を施行し、生検検体でGSTP1高発現群は、術前化学療法の有無にかかわらず切除組織検体でもGSTP1高発現な傾向を認めた。しかしながら、生検検体でのGSTP1低発現群では、切除組織検体でのGSTP1発現に一定の傾向を認めず、組織の生検部位における不均一性や化学療法による低発現細胞への治療効果の影響などが考えられた。このため、免疫染色による更なる解析は、現在の生検検体を含めた検体数では困難と判断し、細胞実験を施行する事とした。 食道癌細胞株を用いた検討では、正常中皮細胞株に比較して概ねGSTP1発現の上昇を認め、siRNAを用いた発現抑制を確認した。現在、siRNAを用いたGSTP1発現抑制による食道癌細胞株の増殖能、浸潤・遊走能などの機能変化を評価中である。またGSTP1発現抑制による化学療法感受性の変化についても合わせて評価中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた組織の免疫染色のみによる化学療法感受性の分類や評価には、特に生検検体が不足しており、また低発現群で組織検体における結果との乖離の明確な原因の解明が難しく、やや難渋した。このため、まずは細胞株における評価・検討を行うための準備にやや時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
食道癌細胞株において、siRNAを用いたGSTP1発現抑制による増殖能、浸潤・遊走能などの機能変化を評価する。またGSTP1発現抑制による化学療法感受性の変化についても合わせて評価を行う。これらの検討から、GSTP1発現の低下により化学療法感受性が上昇することが予想され、再度免疫組織染色における結果との相関から、新たな食道癌治療方針の確立を目指す。
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