2016 Fiscal Year Research-status Report
分泌型癌抑制microRNAを用いた消化器癌の抗癌剤感受性予測と核酸治療法の開発
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15K10112
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小松 周平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40578978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20244600)
市川 大輔 山梨大学, 総合研究部, 教授 (20347446)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | microRNA / バイオマーカー / 遊離核酸 / エキソソーム / 核酸治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、網羅的データベース解析またはアレイ解析により血中の分泌型の癌抑制型miRNA濃度による癌の悪性度や抗癌剤感受性診断を行い、さらには分泌型の癌抑制型miRNAを用いた血液・体液を介した抗腫瘍効果や抗癌剤感受性回復効果を目的とした新たな癌治療への応用の可能性を世界に先駆けて検証するものである。解析予定は以下である。
1.癌患者血中で著しく濃度低下のみられる癌抑制型のmiRNA候補群のmicroRNAアレイを用いた網羅的探索 2.候補miRNA群のtest scale 及び多数症例でvalidation studyによる悪性度、予後への関与の評価 3.細胞株での過剰発現により腫瘍増殖・遊走・浸潤抑制効果の極めて強いmiRNA候補の絞り込み 4.癌抑制型miRNAを高濃度に血中・体液中で維持することによる抗腫瘍効果を目的とした癌治療への応用 5.食道癌術前化学療法の抗癌剤耐性患者血中で著しく濃度低下のみられるmiRNA候補群の網羅的探索 6.候補miRNA群のtest scale 及び多数症例でvalidation studyによる抗癌剤感受性への関与の評価 7.候補miRNAを高濃度に血中・体液で維持することによる抗癌剤感受性回復を目的とした癌治療への応用 8.尿中miRNAによる癌診断、悪性度・予後診断、抗腫瘍効果・抗癌剤感受性回復効果診断の可否の評価
昨年度、膵癌、胃癌、食道癌において、網羅的データベース解析またはアレイ解析により血中で濃度低下している分泌型の癌抑制型miR候補群の選出が終了し、今年度では、test scale 及び多数症例でvalidation studyによる悪性度、予後への関与の評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
血中miRNAを用いた網羅的アレイ解析で選出された癌抑制型miRNA候補群に対して、各癌腫別にTaqMan assayによる定量的RT-PCRを行い、実際にtest-scale解析で健常人群より癌患者群の血中濃度が低くなる候補miRNAに絞り込んでいる。さらに、validation解析で多数例のサンプルで健常人群より癌患者群の候補miRNAの濃度が低く、候補miRNAの血中濃度が癌の悪性度・予後に逆相関する候補を絞り込んだ。今年度の解析で、膵癌のmiR-107他、胃癌のmiR-101他、食道癌のmiR-655他が選出された。
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Strategy for Future Research Activity |
1.<癌細胞株での過剰発現により腫瘍増殖・浸潤・転移抑制効果の極めて強いmiRNA候補への絞り込み> 癌細胞株へ候補miRNAのmimic miRNA (mirVana, mimic miRNA, Life Technology)を過剰発現し、MTTアッセイ、Migration/invasionアッセイで細胞増殖・遊走・浸潤の抑制効果の確認を行う。In vivo解析を視野にいれて、特に抗腫瘍効果の著しいmiRNAに絞り込む。さらに標的遺伝子が明らかでないmiRNAでは、mimic miRNA導入の有無によるmRNAの発現変化を網羅的に解析し、Target Scan等の各種データベースを参考に標的癌関連遺伝子の探索し、抗腫瘍効果の分子機序を明らかにする。また、ルシフェラーゼアッセイにより実際に標的遺伝子の3’UTRに結合するか解析を行う。
2.<癌抑制型miRNAを血中投与して高濃度に維持することによる抗腫瘍効果を目的とした癌治療への応用> In vitroの解析で、HEK293、COS-7等の正常細胞に過剰発現させた癌抑制型miR-146aが細胞株培養上清に分泌され、それらの培養上清をかけた腎癌細胞株PC-3Mに細胞外液を介してmiR-146aが導入され、標的遺伝子のROCK1の発現を抑制して細胞増殖抑制を示すことが報告されている(Kosaka N, Ochiya T et al. 2010 JBC)。食道癌、胃癌、膵癌、肝癌細胞株においても同様の実験を行う。また、In vivo解析として担癌マウスモデルを作成し、①癌抑制型miRNA候補をHEK293等の正常細胞に過剰発現させた上清、上清の超遠心によるエキソソーム分画を局所、皮下または腹腔内に投与、②癌抑制型miRNA候補を過剰発現させた正常細胞を皮下に移植、③AteloGene® Systemic Use (KOKEN, Tokyo, Japan)を用いた癌抑制型miRNA候補を正常皮下組織または尾静脈から全身投与を行い、体液を介した抗腫瘍効果を評価する予定である(Takeshita F, Ochiya T et al. 2010 Mol Ther )。既に基礎的予備実験を開始している。
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