2016 Fiscal Year Research-status Report
フィブリノーゲンによる癌の転移メカニズムの解明と新規癌治療への応用
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15K10113
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
若月 幸平 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (10405384)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 癌 / 浸潤 / 転移 / フィブリノゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は,食道癌および胃癌に対して臨床検体より血漿フィブリノゲン値の測定を行った.また,電子カルテより臨床病理学的な項目の抽出を行い,胃癌と食道癌におけるフィブリノゲンの臨床病理学的意義および予後に対する検討を行った.結果より術前の血漿フィブリノゲンが高値である症例は低値の症例と比較して,リンパ節転移が多く,予後が不良であることがわかった.その内容について学会発表および論文作成を行い,食道癌に関しては論文を投稿し受理された.また,胃癌に対しても今後論文作成の予定である.さらに臨床病理学的な結果より血漿フィブリノゲンが高値であることがリンパ節転移や予後不良であるメカニズムを基礎研究で解明していく予定である.まず,フィブリノゲン投与による癌細胞内のNMLCのリン酸化,仮足形成,浸潤の誘導を確認する.癌細胞におけるフィブリノゲン受容体の証明および受容体の阻害剤を同定し,さらにその阻害剤またはミオシン軽鎖リン酸化酵素阻害剤(Y-27632, ML-7)を投与することにより,仮足形成,細胞運動および転移の抑制を検討する.次にフィブリノゲンノックアウトマウスと野生型マウスを用いて担癌マウスを作製し,それぞれのマウスにおける転移状況を比較検討する.最後に,同定したフィブリノゲン受容体の阻害剤やY-27632, ML-7を投与することにより,原発巣および転移巣の状態を詳細に検討する.以上,フィブリノゲンによる癌の浸潤・転移のメカニズムの解明およびフィブリノゲンの阻害による癌の浸潤・転移の制御をvitroおよびvivoの実験で検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験に費やす時間が不足していたこと.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,癌細胞株を用いてフィブリノーゲンを投与することにより細胞内のNMLCのリン酸化,仮足形成,浸潤の誘導を確認する.また,癌細胞におけるフィブリノーゲン受容体の証明とその阻害剤を同定する.さらには受容体の阻害剤もしくはミオシン軽鎖リン酸か酵素阻害剤を投与することにより,仮足形成,細胞運動および転移の抑制を検討する.フィブリノーゲンによる癌の浸潤・転移メカニズムの解明および阻害実験による癌の浸潤・転移の制御をvitroの実験で行っていく.その後,マウスを用いたvivoの実験を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初の予定よりやや研究が遅れていることにより研究費使用の金額が少なくなったものと思われる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度へ予算を繰り越す予定である.
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