2016 Fiscal Year Research-status Report
食道癌手術術後誤嚥に対する潜在的ハイリスク患者の予測システムの構築とその臨床応用
Project/Area Number |
15K10121
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
安田 卓司 近畿大学, 医学部, 教授 (10324782)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今本 治彦 近畿大学, 医学部, 教授 (80351609)
今野 元博 近畿大学, 医学部附属病院, 准教授 (00278681)
新海 政幸 近畿大学, 医学部, 講師 (80340793)
安田 篤 近畿大学, 医学部, 講師 (60351615)
白石 治 近畿大学, 医学部附属病院, 助教 (70388536)
岩間 密 近畿大学, 医学部, 講師 (20548648)
田中 裕美子 近畿大学, 医学部附属病院, 助教 (90642877)
曽我部 俊介 近畿大学, 医学部, 助教 (90580754) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 不顕性誤嚥 / 不顕性脳梗塞 / サブスタンスP / 嚥下機能 / 食道癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨今の外科系への入局者の激減からマンパワー不足で、研究に従事する人間の確保ができず、研究は大きく遅れている。更に拍車をかけたのは外注で測定予定であった血中サブスタンスPの濃度測定が不可能になったことである。サブスタンスPは測定条件などの調整が難しく、外注での測定を受注していたのでは協和メディックス1社のみであった。しかし昨年、これまでの測定に誤りがあり、結果に誤差が生じたことを公表し、今後の測定に関する受注を中止すると発表した。他の業者もあたったが当面は外注を受ける予定はなく、結局サブスタンスP測定用ELISAキットでの測定を余儀なくされる状況になった。ただ、外注と異なりELISAで測定する場合、測定のための人員とそのための時間を確保する必要が生じてくる。現在科内で研究に専念できる大学院生は一人で、それも昨年10月にようやく麻酔科のdutyを終えてフリーになったところである。現在研究の根本理論や測定に関する手技および知識を学んでいるが、実はこの10月から大学の事情でスタッフの一人が地域医療を支えるべく半年間出向することになり、大学院生も研究に専念できる状況ではなくなった。半年後にはスタッフも帰学するので、その時すぐに研究が開始できる状況作りに徹することとした。まずは、嚥下リハビリテーションチーム及び耳鼻咽喉科と嚥下機能の客観的評価法について調整した。より正確に評価するために嚥下造影と喉頭ファイバーの両面から評価することし、嚥下造影に関しては「嚥下造影の検査法(詳細版):日本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会2014年版」の記載に基づいて評価を行い、喉頭ファイバーに関しては「兵頭分類」に従って評価することとした。これらを基に研究プロトコールの最終版を確定し、当院の医学部倫理委員会に提出し、現在、倫理委員会での承認を得たところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究が遅れている最大の理由はマンパワーである。現在主に研究に従事できる大学院生は一人という状況である。しかし、昨今の麻酔科医不足から外科での手術を進めるためには外科より麻酔科医の応援を出す以外に方法はなく、昨年4月に帰学した大学院生を6月から9月まで麻酔科医として勤務することになり、全く研究から離れることとなった。10月に外科に戻ってきたが、その10月からは崩壊している遠方の地域医療をサポートすべく我々の臨床スタッフが1名半年間出向することになり、結局マンパワーは改善されなかった。結局、大学院生も1名減の臨床スタッフを補うべく、研究ではなく臨床サポートに重きを置かざるを得ない状況になった。以上のことから実質研究がストップした状況にならざるを得なかった。それでもも人員が復帰する翌年4月から本格的に研究スタートができる様に嚥下リハビリたーションチームや耳鼻咽喉科、更には放射線診断科と嚥下機能の評価法や不顕性脳梗塞の評価について検討を加え、最終プロトコールを確定していった。しかしもう1点困った事態が発生した。それはサブスタンスPの測定を外注予定であった協和メディックスが、自身の測定に誤りがあったとして受注を中止すると発表があったことである。他を探したが外注を受ける業者はなく、サブスタンスP測定用ELISAキットで自己測定するしか方法がなくなり、更にその測定のための時間と人員を確保する必要が生じた。以上の2点が研究の遅れの最大の理由で、その間は次年度の最初から研究が開始できるための準備に精力を注いできた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究プロトコールも確定し、倫理委員会の承認も済んでいるので、次年度の初めに研究分担者でのkick-off meetingを開催し、すぐに研究を開始する予定である。ただ、課題は2点ある。一つは血中サブスタンスPの測定が外注できなくなり、ELISAで自己測定する必要が生じたことである。測定用のELISAはコスモ・バイオ(株)のものを購入して測定する予定で、効率を上げるために血漿サンプルを凍結保存しておいてまとめて一気に測定することでマンパワー不足に対応し、時間を節約することとしている。課題の2点目のマンパワー不足の問題であるが、実はマンパワーの解消は得られていないのが現状である。昨年10月から地域医療のために出向していた女性医師が4月に帰学したが、これまで所属していた上部消化管外科から乳腺内分泌外科への所属変更の希望があり、結局4月以降も人員の増加はないことになった。そこでグループの体制を一部修正し、一人の大学院生はほぼ研究に専念できるようにし、患者登録や検体採取、検査のオーダーやチェックを行なうことで効率的に患者のリクルートに努力し、円滑に研究を進めていくこととした。上記の修正により研究推進は可能になったと考えている。本研究は患者さんへの侵襲も少なく、食道癌手術後の患者の安全性確保に繋がる重要な研究でもあり、今後は食道癌治療対象のほぼ全患者を対象に研究を進め、できるだけ早急に結果を出していきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
これまで述べてきたように人員不足で研究を進めることができず、実質的な研究が始まっていなかったために研究費使用の必要性がなかったことが前年度未使用額が発生した最大の理由である。結果的には別項で説明したようにこの4月からも人員増にはならなかったが、それまでは4月からは1名の増員になる予定で準備を進めてきた。結局、4月になって初めて当科スタッフの所属変更希望が判明し、現体制で研究を進めるためにグループの診療・研究体制の変更を行なって対応することとした。確かにこれまでは研究の大幅な遅れのために研究費を使用する必要性がなかったが、これからは遅れを取り戻す勢いで研究を進める予定で、サブスタンスPの測定用のELISAキットなど費用のかかる物品の購入の必要もある。以上より、研究を円滑に、かつ効率的に進めるためには十分な研究費が必要であり、前年度未使用額を次年度に繰り越して使用することを申請する次第である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
まずは、血中サブスタンスP測定用サンプルの凍結保存のためのクライオチューブと保存用ラック、血漿採取用のマイクロピペットとチップ、そして実際の測定用ELISAキットを購入する予定である。また備品として、研究分担者に配布用の研究プロトコールファイル、患者説明同意文書、症例記録用のCRFシートなどの印刷のための文具などに使用していく。更には、嚥下関連の学会にも参加して情報収集を行ないつつ、できれば後半には学会発表を目指していきたいと考えている。
|