2017 Fiscal Year Research-status Report
食道癌手術術後誤嚥に対する潜在的ハイリスク患者の予測システムの構築とその臨床応用
Project/Area Number |
15K10121
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
安田 卓司 近畿大学, 医学部, 教授 (10324782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今本 治彦 近畿大学, 医学部, 教授 (80351609) [Withdrawn]
木村 豊 近畿大学, 医学部, 准教授 (80716994)
今野 元博 近畿大学, 医学部附属病院, 准教授 (00278681)
新海 政幸 近畿大学, 医学部, 講師 (80340793)
安田 篤 近畿大学, 医学部, 講師 (60351615)
白石 治 近畿大学, 医学部, 講師 (70388536)
岩間 密 近畿大学, 医学部, 講師 (20548648)
加藤 寛章 近畿大学, 医学部, 講師 (30460900)
田中 裕美子 近畿大学, 医学部附属病院, 助教 (90642877) [Withdrawn]
平木 洋子 近畿大学, 医学部附属病院, 助教 (10709661)
曽我部 俊介 近畿大学, 医学部附属病院, 助教 (90580754) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サブスタンスP / 誤嚥 / 不顕性脳梗塞 / 食道癌 / 嚥下機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度に関しても外科の入局者はゼロで、更に近隣の医療の維持のために大学内から医師を派遣せざるをない状況も重なってますます人手は減り、昨年度よりも厳しい状況となった。しかし、社会の高齢化に伴って癌関連患者の高齢化も進み、日常臨床でも食道癌患者に限らず術後の誤嚥は少なからず認め、治療に難渋したり、入院日数の大幅な延長に繋がっている。我々の研究はこの誤嚥リスクの高い患者を予測し、発症前に未然に対策を講じようとするもので、非常に意義は高いと考えている。病院内でも誤嚥は大きな問題で、今後取り組むべき大きな一つの過大になっている。確かに人員は厳しいが、幸い耳鼻咽喉科やリハビリテーション科の協力も積極的で、医療の質向上と患者QOLの改善のために今年度は何とか研究を開始し、進めているところである。 現在の研究の流れは、外来で治療方針決定後、本研究である誤嚥studyの説明をして承諾を得た後、嚥下VF及びVEならびに脳MRIの予約を行ない、入院後の採血の際に同時にサブスタンスPの採血をして血漿を凍結保存する。嚥下VFはリハビリ科の本研究担当医師が行なって検査画像をDVDに録画すると共に所定のCRFシートにしたがって嚥下機能を評価する。嚥下VEも耳鼻咽喉科の本研究担当医師が行ない、既に電子カルテ内にある評価シートに記録をする。術後の誤嚥発症時または食事開始前の嚥下評価においても同様の流れで進めていく。以上の手順で順次症例を蓄積中である。サブスタンスPの測定は、コスモ・バイオ社のELISA litを用いて保存サンプルが一定数になればまとめて行なう予定である。 以上、来年度に向けても症例集積を同様に継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
毎年同じであるが、遅れの原因はひとえに人員不足である。近年、外科医志望の若い医師が激減し、外科の入局はゼロで減る一方である。この傾向は近隣の関連施設でも同様で、地域の外科医不足は顕著になっている。このため大学から外科医の補充を行なわざるを得ず、大学内の人員不足に拍車をかけているというのが実状ある。これに対する有効な解決策はなく、苦しい中で研究を開始しているという状況である。現在、何とか嚥下機能評価に関しては、耳鼻咽喉科医師とリハビリテーション科医師の協力を得て進めているが、一番苦労しているのがサブスタンスPの採血とその後に遠心分離して血漿を保存するという作業である。スタッフはほぼ総出で外来、病棟管理、検査、手術などに携わっており、ここまでは統括責任者が採血後の処理・保存を行なっている状況である。本研究の専属スタッフもおらず、症例管理にも苦労しており、秘書や実験助手の協力も職務外でお願いして何とか遂行しているという状況である。ただ、研究実績の概要にも簡単に書いたが、高齢化に対応するために医療も変わらなければならず、高齢者の病態やリスクを少しでも科学的に、かつ客観的に評価して対策を講ずるシステムの構築は急務の課題と考えている。そのため、患者に質の高い医療を提供するという高い理念を失わずに、少ない人力で何とか研究を完遂していきたいと考えている。ただ、症例集積には来年度一杯までかかると現時点では推測される状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、少しずつではあるが症例は集積できており、研究に携わる医師及び外来や病棟看護師にも研究の流れに対する理解が深まって、今後はもっとスピードアップして症例集積が可能と考えている。また、随時、嚥下VEの評価データを電子カルテから所定のCRFシートに抽出して解析に備える準備も平行して行なう予定である。その上でサブスタンスP濃度のELISA kitでの測定に関して、assay間誤差を最小限にするためにトライアルをして本測定にも備える予定である。現在、漸く研究は軌道にのり進んでいるが、最終解析までを考えると、残念ではあるが1年の研究の延長を申請せざるを得ないことになるかもしれない。しかし、来年度もできる限りの努力は研究チーム一丸となって行なう予定である。
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Causes of Carryover |
人員不足で研究が遅れていること、現在症例集積の段階で、大きく購入しなければならない備品や測定や検体保存に関する機器がなかったことが残額が大きい理由である。一部は、日本嚥下学会での発表に際して、嚥下機能評価や誤嚥対策の最新情報を取得するために嚥下VEを担当する耳鼻咽喉科医師に参加して頂き、我々が現在行なっている嚥下評価等に過不足がないかを調査してもらった出張費として使用した程度である。ただ、今後はサンプル保存のためのクライオチューブ、保存用ラック、ピペットチップ、それと高額なサブスタンスP Elisa kit(96 well×5 set=284,000円)を数セットは購入が必要と考えており、次年度に繰り越しになってはいるが、十分使用が予定されているものである。
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