2016 Fiscal Year Research-status Report
食道扁平上皮癌におけるがん代謝を制御する分子機序の網羅的解析
Project/Area Number |
15K10122
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
渡邊 雅之 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 部長 (80254639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 誠一 公益財団法人がん研究会, がん研究所 がんゲノム研究部, 主任研究員 (10334814)
馬場 祥史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 講師 (20599708)
澤山 浩 熊本大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員 (40594875)
今村 裕 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医員 (70583045)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / がん代謝 / 内臓脂肪 / 糖尿病 / microRNA / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
食道扁平上皮癌におけるがん代謝を制御する分子機序を解明することを目的として研究を行っている。われわれは食道癌患者の代謝の変化ががんの代謝に影響し、がんの悪性度を変化させる可能性があると考えている。過去に切除を行った食道扁平上皮癌患者の術前CT画像から内臓脂肪・皮下脂肪比 (V/S比)を算出し、V/S比が高い症例は低い症例に比較して予後不良であることを明らかにし報告した (Ann Surg Oncol 2016)。V/S比高値症例では食道癌術前の炎症反応が有意に高値であり、V/S比高値は術後経過中の炎症反応の増悪に関与することが示された。また病理学的にはV/S比高値の症例で有意に脈管侵襲のリスクが高いことが明らかとなった。これらの所見は内臓脂肪型肥満症例においては宿主の慢性炎症が惹起された状態にあり、腫瘍の悪性度も亢進していることを示唆する。一方、患者の糖代謝異常が食道癌術後の予後に影響することも明らかとなった(World J Surg 2017)。このような臨床データを背景に、内臓脂肪から分泌されるサイトカインや増殖因子、microRNAが食道扁平上皮癌の代謝や悪性度に与える影響に着目し、その分子機序について解析を行っている。現在、食道扁平上皮癌切除例のサンプリングとともに、手術時に切除された大網の一部および患者の血清を前向きにサンプリングしている。これまでに大網脂肪からタンパクを抽出し、サイトカインの発現解析を行い、臨床病理学的因子との比較を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床データの収集および解析は進んでいる。また前向きのサンプル収集も進んでおり、解析が開始できている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床データの解析から肥満や糖尿病等の代謝異常ががんの代謝や増殖能、悪性度に与える影響を解析する。これまでに収集したサンプルを用いて、PLA2G5、PLA2G2E、adiponectinの発現が内臓脂肪量に依存するか否かを検討する。また肥満患者の内臓脂肪から分泌されるサイトカインやmicroRNAのプロファイルを解析することにより、内臓脂肪が腫瘍の代謝に影響する分子機序を解明する。
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Causes of Carryover |
支払期限の関係で次年度使用額が発生しています。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度研究費と合わせて有効に使用させていただきます。
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Research Products
(7 results)