2016 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍内HER2不均一発現を呈する胃癌のトラスツズマブ耐性機序の分子生物学的解明
Project/Area Number |
15K10123
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
若槻 尊 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器内科, 副医長 (60443876)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 胃癌 / HER2 / Heterogeneity / トラスツズマブ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は切除検体おいてHomogeneousにHER2過剰発現を認める胃癌はHeterogeneousにHER2過剰発現を認める症例よりトラスツズマブの治療効果が高い事を報告してきた。本研究ではHER2がHomogeneousに過剰発現した胃がんとHeterogeneousに過剰発現した胃がんで分子生物学的な背景の違いを明らかにし、トラスツズマブ耐性機序を解明しそれらを克服する新たな治療戦略を検討する事である。28年度の主な実績として1.胃癌の7割以上を占める切除不能症例から得られた生検検体で検討しデータの再現性を得た(Homo.vs.Hetero.:mPFS 10.6 vs. 5.6, HR2.054, 95%CI, 1.03-4.09, p=0.036, mOS 27.6 vs. 14.1, HR3.632, 95%CI 1.34-9.88, p:0.007)(ASCO-GI 2017)。2.免疫染色を施行しHER2以外のEGFR, HER3, cMET, FGFR2の膜蛋白過剰発現をHomo群とHetero群で比較した。切除症例での陽性率はEGFR (Homo vs. Hetero 85.7% vs. 90.9), HER3 (42.8% vs. 9.1%), FGFR2 14.3% vs. 18.2%)であった。免疫染色上は明確な陽性率の違いを現時点では示せなかった(今後、適切なカットオフ値の検討および症例数の増加を考慮している)。またEGFR陽性の一部の症例においてはHER2と相互排他的な蛋白過剰発現を認める所見も得られ、それぞれの部に異なるRTKsの増幅を確認する目的でDISHを予定している。cMETにおいてはIHCでの判定が困難であった、より定量的な解析を目的に遺伝子発現解析にての比較を予定している。3.耐性機序の克服に関しては未だ切除検体からHER2陽性胃がん細胞株が樹立されておらず、今後cell lineを用いた研究を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は臨床データの熟成、サンプルの収集および関連機関との連携構築等、実質準備のみで終了し研究の実務を遂行できなかった。また免疫染色の染色性や判定に難渋する抗体及び症例がある。耐性機序の克服に関しては切除検体からの細胞株の樹立しPDXマウスモデルの作成を考慮していたが、HER2陽性胃がん患者からの細胞株の樹立が未だ成功していない。以上の影響で予定よりやや遅れております。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の問題点の一つに免疫染色の陽性の基準を決めかねており、正確な陽性率を出しえていないこと、更にcMETが過剰に染色されてしまいこちらも判定が困難である。これらに対し適切なカットオフ値の再検討およびDISHや遺伝子発現解析等より定量性が高い方法での解析を予定している。耐性機序の克服に関しては切除検体からのHER2陽性胃癌細胞株が樹立しておらず、既存の細胞株をmixしヌードマウスに移植しin vitroでの検討も考慮している。
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Causes of Carryover |
初年度に関して臨床データやサンプルの収集等、立ち上げの準備に時間を費やした為、大研究の実務を遂行する事ができませんでした。現在は病理医等の関連機関との連携も機能しておりスムーズに研究が遂行されております。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度、免疫染色の一時抗体、遺伝子発現のプライマー等の試薬の購入およびシークエンスの外注オーダー、更に抗HER2薬原末およびヌードマウス等の購入に使用予定です。
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