2016 Fiscal Year Research-status Report
多能性幹細胞からの誘導腸管を用いた、生体内長期培養による腸管移植への試み
Project/Area Number |
15K10144
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
植田 剛 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40526810)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / 腸管分化誘導 / iPS細胞 / 短腸症候群 / 炎症性腸疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前よりわれわれは、多能性幹細胞から臓器としての腸管分化誘導を行ってきた。分化誘導された腸管は蠕動運動能や腸管内容運搬能を有する臓器としての管腔状の腸管で、解剖学的に解析すると粘膜上皮細胞、平滑筋細胞、ICC、神経細胞などの腸管特異的な三胚葉系細胞で構成されている。一方で、血管やリンパ管といった脈管が存在せず、粘膜上皮も単層で陰窩も存在しない。分化誘導腸管は脈管新生がない影響もあり、誘導後比較的早期に蠕動運動が停止してしまう。体外の長期培養に向けて、血管新生能に着目し、検討を行ってきたが、長期培養系を確立することはできなかった。本研究はin vivoで移植用腸管の作成を目指すべく、腹腔内臓器に腸管を生着させ、長期培養が可能であるか否かを検討することにある。 大網は、血管が結合組織内を走行し、その血管を中心に脂肪組織やリンパ球、形質細胞などが集まっている組織で、正常生体内に存在するため、腸間膜としての機能をこなすことが期待でき、大網を代用腸間膜とし腸管を生着させる場所として選択した。 しかしながら、大網へ多能性幹細胞から分化誘導した腸管の付着を試みるが、大網は腹腔内での可動性を有しているため、移植後の支持が悪いためか、生着を確認できなかった。 しかしながら本研究は、拒絶反応のない人工腸管の移植の可能性を秘めており、難治性腸管障害に対する新たな治療戦略となると判断している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
iPS細胞からの分化誘導した腸管の移植時期、移植場所の設定に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
iPS細胞からの誘導腸管をそのまま移植へと用い、完全な機能維持を行うことは困難なため、例えば粘膜などの部分的な移植なども合わせて検討している。
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Causes of Carryover |
本年度も物品費が低額に抑えられた。現在当該研究を進行中である。今年度も引き続き施行する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
腹腔内で腎被膜下など、支持されやすい場所に生着させて血管を有する腸管臓器を作成する。短腸症候群や炎症性腸疾患のモデルマウスに移植し、生着能の評価、栄養状態などの改善効果に関しても検討中である。 新しい腸管移植研究の第一歩となるため、今後も本研究を継続する予定である。
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Research Products
(3 results)