2015 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌の新たなバイオマーカーによる癌予測診断と治療法の開発
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15K10150
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
飯沼 久恵 帝京大学, 医学部, 講師 (30147102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋口 陽二郎 帝京大学, 医学部, 教授 (60251253)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CTC / 大腸癌 / バイオマーカー / 遺伝子解析 / 次世代シークエンス / シングルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで、Liquid biopsy の先駆けとして血中循環癌細胞(Circulation tumor cells:CTC)に注目し、特に循環癌幹細胞(Circulation cancer stem cells:CTSC)は悪性度が高く、再発・予後予測マーカーとして重要であることを報告してきた。今年度は、CTC のheterogeneity が癌の進展や薬剤治療効果に影響する可能性が危惧されていることから、CTC の発現分子を多重蛍光染色で解析し、次にCTCのsingle cellを採取してその遺伝子変異の特徴を次世代シークエンスで明らかにした。(1)CTC発現分子の解析:大腸癌血液サンプルのCTCに蛍光多重染色を行い、イメージサイトメーターでその数を測定し、癌の進行度との関連性を検討した。用いた抗体は、FITC 標識上皮系マーカー(AE1/AE3)と腫瘍マーカー(CEA), Texas Red 標識癌幹細胞マーカー(CD133, CD44)、PerCP-Cy5.5 標識EMT マーカー(PLS-3, Vimentin)である。大腸癌の病期ごとにその違いを検討したところ、癌の進行に伴い、癌幹細胞分子を発現したCTC(CEA+CD133+CTCおよびCK+CD44+CTC)およびEMT関連分子を発現したCTC (CEA+ PLS3+CTCおよびCK+CD44+ Vimentin+ CTC)の割合が増加した。特にstage IVにおけるこれらの分子を発現したCTCの数は、stageI,IIに比べて有意な高値を示した。(2)CTC遺伝子変異の解析:同一症例の大腸癌原発部組織とCTCの遺伝子解析を、次世代シークエンスを用いておこなった。CTCのシングルセルは誘電泳動マイクロウエルアレイシステムで採取した。原発部癌組織とCTCのDNA変異の比較したところ、約7割の遺伝子変異が共通していた。術後再発を認めた症例のCTCにおいて、新たな遺伝子変異が確認された。これらの結果から、大腸癌の進行により、CTCに悪性度の高い分子の発現や、原発巣にはみられない新たな遺伝子変異が確認された。癌病態のリアルタイムな変化を確認し厳密な個別化治療をおこなうために、CTCの臨床的有用性は高いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、大腸癌症例におけるCTCの発現分子をより詳細に検討し、シングルセルレベルでの遺伝子変異を、次世代シークエンスで明らかにすることであった。今年度、イメージサイトメーターという新しい機器を用いて、CTCの発現分子を癌幹細胞およびEMT関連分子を含めて多重染色し、予後不良な患者のCTCにより悪性度の高い分子が発現していることを明らかにした。さらに新しい細胞採取システムである誘電泳動マイクロウエルアレイシステムを用いてシングルセルを採取し、次世代シークエンスよる遺伝子解析を成功させた。これらの結果から、大腸癌の進行により、CTCに悪性度の高い分子の発現や、原発巣にはみられない新たな遺伝子変異が確認された。このように、本年度の研究の進展は、従来の目的を達成しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、CTCの分子マーカーおよび遺伝子変異と、化学療法剤と分子標的薬の薬剤耐性および治療効果との関連性を解析する。さらに、Liquid biopsyの新たなバイオマーカーとして注目されている血漿エクソソームmicroRNAを加え、早期癌のマーカーおよび転移・再発・予後予測マーカーとしての有用性などについて検討する。このような癌に対するLiquid biopsyに基づくバイオマーカーの特色、利点および課題を明らかにし、臨床の場に即したより厳密な個別化医療を礎を築くことを目指す。新たな大腸癌症例のサンプリングも継続しておこなう。
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Causes of Carryover |
今年度おこなう予定であった、CTC次世代シークエンス解析の一部を次年度に組み込んだため、その金額を次年度使用分として持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大腸癌患者の末梢血からCTCを採取し、遺伝子を増幅後、次世代シークエンスを行う。
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Research Products
(50 results)
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[Journal Article] Patient factors predisposing to complications following laparoscopic surgery for colorectal cancers.2015
Author(s)
Ishihara S, Matsuda K, Tanaka T, Tanaka J, Kiyomatsu T, Kawai K, Nozawa H, Kazama S, Kanazawa T, Yamaguchi H, Sunami E, Kitayama J, Hashiguchi Y, Watanabe T.
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Journal Title
Surg Laparosc Endosc Percutan Tech
Volume: 25
Pages: 168-172
Peer Reviewed
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[Journal Article] Laparoscopic-Assisted Surgery for Malignant Fibrous Histiocytoma Originating from the Descending Colon: A Case Report and Literature Review2015
Author(s)
Keiji Matsuda, Takahiro Yagi, Mitsuo Tsukamoto, Yoshihisa Fukushima, Takuya Akahane, Ryu Shimada, Atsushi Horiuchi, Keisuke Nakamura, Takeshi Tsuchiya, Tamuro Hayama, Junko Tamura, Hisae Iinuma, Shoichi Fujii, Keijiro Nozawa, Takuo Tokairin, Yuko Sasajima, Fukuo Kondo, Yojiro Hashiguchi
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Journal Title
International Journal of Cancer and Clinical Research
Volume: 2
Pages: 2-3
Peer Reviewed
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[Journal Article] A multicenter phase II study of preoperative chemoradiotherapy with S-1 plus oxaliplatin for locally advanced rectal cancer (SHOGUN trial).2015
Author(s)
Satoshi Matsusaka, Soichiro Ishihara, Keisaku Kondo, Hisanaga Horie, Keisuke Uehara, Masahiko Oguchi, Keiko Murofushi, Masashi Ueno, Nobuyuki Mizunuma, Taiju Shimbo, Daiki Kato, Junji Okuda, Yojiro Hashiguchi, Masanori Nakazawa, Eiji
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Journal Title
International Journal of Cancer and Clinical Research
Volume: 116
Pages: 209-213
Peer Reviewed
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[Journal Article] Validation and Modification of the Japanese Classification System for Liver Metastases from Colorectal Cancer: A Multi-institutional Study.2015
Author(s)
Shinto E, Takahashi K, Yamaguchi T, Hashiguchi Y, Kotake K, Itabashi M, Yasuno M, Kanemitsu Y, Nishimura G, Akagi Y, Sato T, Kato T, Matsumoto H, Hase K, Sugihara K; Study Group for Liver Metastasis projected by the Japanese Society for Cancer of the Colon and Rectum (JSCCR).
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Journal Title
Ann Surg Oncol
Volume: 22
Pages: 3888-3895
Peer Reviewed
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[Journal Article] 大腸SM(T1)癌に対する外科手術の中・長期成績2015
Author(s)
松田 圭二, 塚本 充雄, 福島 慶久, 赤羽根 拓弥, 島田 竜, 堀内 敦, 中村 圭介, 土屋 剛史, 端山 軍, 田村 純子, 飯沼 久恵, 藤井 正一, 野澤 慶次郎, 橋口 陽二郎
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Journal Title
胃と腸
Volume: 50
Pages: 426-436
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[Journal Article] 肛門管悪性腫瘍の臨床的特徴と治療方針2015
Author(s)
松田 圭二, 八木 貴博, 塚本 充雄, 福島 慶久, 赤羽根 拓弥, 堀内 敦, 島田 竜, 中村 圭介, 端山 軍, 岡本 耕一, 土屋 剛史, 田村 純子, 飯沼 久恵, 藤井 正一, 野澤 慶次郎, 橋口 陽二郎
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Journal Title
臨床検査
Volume: 51
Pages: 295-308
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[Presentation] S状結腸癌イレウスに対し大腸ステント留置後に一期的腹腔鏡補助下S状結腸切除術を行った1例2015
Author(s)
塚本 充雄, 松田 圭二, 八木 貴博, 福島 慶久, 赤羽根 拓弥, 堀内 敦, 島田 竜, 中村 圭介, 土屋 剛史, 田村 純子, 飯沼 久恵, 藤井 正一, 野澤 慶次郎, 松田 圭二, 橋口 陽二郎
Organizer
第70回 大腸肛門病学会
Place of Presentation
名古屋観光ホテル、ヒルトン名古屋(愛知県名古屋市)
Year and Date
2015-11-13 – 2015-11-14
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[Presentation] 大腸癌末梢循環癌細胞(CTC)の分子生物学的特徴2015
Author(s)
飯沼 久恵, 田村 純子, 塚本 充雄, 福島 慶久, 中村 圭介, 島田 竜, 土屋 剛史, 藤井 正一, 野澤 慶次郎, 松田 圭二, 橋口 陽二郎
Organizer
第53回日本癌治療学会学術集会
Place of Presentation
国立京都国際会館、グランドプリンスホテル京都(京都府京都市)
Year and Date
2015-10-29 – 2015-10-31
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[Presentation] 大腸T1癌に対する外科手術の中・長期成績2015
Author(s)
松田 圭二, 八木 貴博, 塚本 充雄, 福島 慶久, 赤羽根 拓弥, 堀内 敦, 島田 竜, 中村 圭介, 端山 軍, 土屋 剛史, 田村 純子, 飯沼 久恵, 藤井 正一, 野澤 慶次郎, 橋口 陽二郎
Organizer
第53回日本癌治療学会学術集会
Place of Presentation
国立京都国際会館、グランドプリンスホテル京都(京都府京都市)
Year and Date
2015-10-29 – 2015-10-31
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[Presentation] pStageII・III大腸癌術後補助化学療法の成績:ハイリスク群に対するOxaliplatinの効果2015
Author(s)
藤井 正一, 八木 貴博, 塚本 充雄, 福島 慶久, 赤羽根 拓弥, 島田 竜, 中村 圭介, 端山 軍, 土屋 剛史, 野澤 慶次郎, 松田 圭二, 田村 純子, 飯沼 久恵, 橋口 陽二郎
Organizer
第53回日本癌治療学会学術集会
Place of Presentation
国立京都国際会館、グランドプリンスホテル京都(京都府京都市)
Year and Date
2015-10-29 – 2015-10-31
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[Presentation] Clinical impact and molecular characteristics of circulating tumor cells (CTCs) in patients with colorectal cancer.2015
Author(s)
Junko Tamura, Hisae Iinuma, Mitsuo Tsukamoto, Yasuhisa Fukushima, keisuke Nakamura, Ryu Shimada, Takeshi Tsuchiya, Shoichi Fujii, Keijiro Nozawa, Keiji Matsuda, Toshifumi Mogami, Yojiro Hashiguchi
Organizer
74th Annual Meeting the Japanese Cancer Association
Place of Presentation
名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)
Year and Date
2015-10-08 – 2015-10-10
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[Presentation] Clinical impact of plasma exosomal microRNA-21 as a biomarker in each stage of colorectal cancer patients2015
Author(s)
Hisae Iinuma, Junko Tamura, Mitsuo Tsukamoto, Yasuhisa Fukushima, keisuke Nakamura, Ryu Shimada, Takeshi Tsuchiya, Shoichi Fujii, Keijiro Nozawa, Keiji atsuda, Toshifumi Mogami, Yojiro Hashiguchi
Organizer
74th Annual Meeting the Japanese Cancer Association
Place of Presentation
名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)
Year and Date
2015-10-08 – 2015-10-10
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[Presentation] 高齢者(80歳以上)大腸癌の術後フォローアップ法2015
Author(s)
島田 竜, 藤井 正一, 塚本 充雄, 福島 慶久, 赤羽根 拓弥, 中村 圭介, 土屋 剛史, 野澤 慶次郎, 松田 圭二, 橋口 陽二郎
Organizer
第70回日本消化器外科学会総会
Place of Presentation
アクトシティ浜松、オークラアクトシティホテル浜松、ホテルクラウンパレス浜松(静岡県浜松市)
Year and Date
2015-07-15 – 2015-07-17
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[Presentation] 術後の問題点からみた潰瘍性大腸炎の外科治療2015
Author(s)
松田 圭二, 塚本 充雄, 福島 慶久, 赤羽根 拓弥, 島田 竜, 中村 圭介, 土屋 剛史, 藤井 正一, 野澤 慶次郎, 橋口 陽二郎
Organizer
第70回日本消化器外科学会総会
Place of Presentation
アクトシティ浜松、オークラアクトシティホテル浜松、ホテルクラウンパレス浜松(静岡県浜松市)
Year and Date
2015-07-15 – 2015-07-17
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[Presentation] 直腸癌術前化学放射線療法前および療法後の白血球数と治療効果2015
Author(s)
田代 恵太, 神藤 英二, 上野 秀樹, 梶原 由規, 久保 徹, 深澤 智美, 山寺 勝人, 橋口 陽二郎, 山本 順司, 長谷 和生
Organizer
第70回日本消化器外科学会総会
Place of Presentation
アクトシティ浜松、オークラアクトシティホテル浜松、ホテルクラウンパレス浜松(静岡県浜松市)
Year and Date
2015-07-15 – 2015-07-17
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[Presentation] 内視鏡下生検組織を利用した直腸癌術前化学放射線療法の治療効果予測―短期照射例の結果を基にした長期照射例の前向き検討―2015
Author(s)
神藤 英二, 識名 敦, 上野 秀樹, 梶原 由規, 久保 徹, 深澤 智美, 末山 貴浩, 山寺 勝人, 阿尾 理一, 米村 圭介, 白石 壮宏, 関澤 明徳, 市川 度, 橋口 陽二郎, 山本 順司, 長谷 和生
Organizer
第115回日本外科学会定期学術集会
Place of Presentation
名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)
Year and Date
2015-04-16 – 2015-04-18