2015 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌発癌と進展におけるM-CSFの役割の解明と、その臨床応用
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15K10159
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
細村 直弘 山梨大学, 総合研究部, 診療助教 (60402070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 寛 山梨大学, 総合研究部, 講師 (40322127)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | M-CSF / 肝マクロファージ / 肝細胞癌 / 肝発癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】肝細胞癌(HCC)発症進展における背景肝に発現するM-CSF関与と、M-CSF受容体抑制剤のHCC増殖抑制効果を検討した。【方法】検討I:M-CSF欠損(op/op)とlittermateマウス(LT)に、ジエチルニトロサミン(DEN)を投与し発癌率と肝内M1/M2 Mφ比と血管新生発現を検討した。検討II:手術標本でM-CSF・新生血管発現、M2Mφ分布と予後を解析した。検討III:分離肝Mφと単球をM-CSF存在下で共培養し、血管増殖因子産生、血管内皮細胞(VEC)増殖を検討した。検討IV:HCC株MH134マウス皮下移植、ヒトHCC細胞株(Huh-7)のヌードマウス脾臓移植モデルでM-CSF受容体拮抗剤GW2580の投与効果を検討した。検討V:DEN肝発癌モデルでGW2580の投与効果を検討した。【結果】検討I:op/opでは発癌率がLTと比較し有意に低下した。DEN投与後のop/opの背景肝において、腫瘍周囲のM1/M2 Mφ比と血管新生がLTと比較し有意に減少した。検討II:M-CSFならびに新生血管発現の高発現群においてDFSが有意に短縮していた。M-CSF発現は、単変量解析により独立した予後因子であった。検討III:肝Mφと単球は、M-CSF存在下でM-CSF濃度依存性にVEGFを産生したが、その産生量は肝Mφで有意に亢進。VECは、M-CSFと肝Mφの共培養条件下で増殖が最も亢進した。検討IV:マウスHCC株ならびにヒトHCC細胞株において、GW2580投与により、腫瘍増殖が有意に抑制された。検討V:DEN投与による肝発癌はGW2580投与により抑制された。【考察】背景肝に発現するM-CSFは、HCCの発症と進展に関与した。M-CSF受容体阻害剤投与によるHCC増殖抑制効果は、M-CSFを分子標的とするHCC新規治療開発への可能性を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度に計画していた検討事項は、約80%終了できている。
マウス肝発癌モデルにおける検討では、M-CSF欠損マウスにおいて、発生が低下した。 臨床症例における検討では、M-CSF肝内発現が強い群ほど、また、M2 type macrophage, 血管新生因子の発現が強い群において肝細胞癌の再発ならびに予後が悪化していた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中であるM-CSF受容体拮抗剤を用いた肝癌細胞株を用いた治療への応用に関する検討の継続と発展へと展開していく。また、英文雑誌への投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
試薬等が定価より安価で購入できたため未使用金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品購入の予定である。
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