2015 Fiscal Year Research-status Report
組織幹細胞を用いた胆汁ドレナージシステムを有する肝様組織構築と術後肝不全への応用
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15K10160
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
酒井 宏司 信州大学, 医学部附属病院, その他 (90645508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 眞一 信州大学, 医学部, 教授 (80229806)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 胆嚢上皮由来前駆細胞 / 肝細胞 / 胆管上皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究計画では、1.マウス肝外胆管幹/前駆細胞の性質を肝幹前駆細胞の性質との比較、2.in vitro での肝組織幹/前駆細胞を用いた肝様細胞の作製、機能解析、3.in vitro での肝外胆管幹/前駆細胞を用いた3 次元的胆管構築ための培養条件の検討を主な目的として研究を行った。 1について、我々は肝幹/前駆細胞の分離培養技術をすでに確立しており、その基本的な性質については確認ずみである。肝外胆管系である胆嚢からも、同様の方法で継代可能、かつ凍結保存可能な上皮様細胞の分離培養に成功したが、これが前駆細胞の性質を持っているか上記の肝幹/前駆細胞と比較検討した。RT-PCRの手法を用いた発現遺伝子の解析では、胆嚢上皮由来前駆細胞よりαフェトプロテイン、アルブミン、サイトケラチン19等、内胚葉系未分化マーカーの発現を確認しており、少なくとも肝前駆細胞様の性質をもつ内胚葉系譜の細胞集団が含まれることを確認している。さらに免疫染色でも上記蛋白が発現していることが確認された。 2について、肝前駆細胞の肝細胞への分化誘導法について、spheroid 形成によって、アルブミン等、肝細胞マーカーの発現レベルが上昇することを確認している。胆嚢上皮由来前駆細胞との共培養でこのspheroidと連続する構造を形成させるためには、胆嚢上皮由来前駆細胞も肝細胞系譜への分化ができなければならないと考えており、種々条件で胆嚢上皮由来前駆細胞の分化誘導をおこなっているが、肝前駆細胞と全くおなじ分化誘導の条件では十分な分化はえられず、さらに培養条件を検討中である。 3について、胆嚢上皮由来前駆細胞を用いて3 次元培養を行い、極性をもった管腔構造を形成するための最適な培養条件を各種培養条件を用いて検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胆嚢上皮由来の増殖性をもった細胞が分離培養でき、これらが肝前駆細胞様の遺伝子発現パターンをもっていることがわかった。しかしながら肝由来肝前駆細胞と同様の条件では肝細胞系譜、胆管上皮系譜への分化が同様には誘導できないことがわかり、全く同じ性質をもっているわけではなく、成熟細胞への分化誘導培養条件についてさらにさまざまな条件での検討が必要となっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を推進するためには、胆嚢上皮の分化誘導条件の決定が最優先事項となる。これまで検討した培養条件でもある程度分化はすすむことが分かっているが、細胞播種密度や増殖因子添加の期間、さらには培地交換の頻度も細胞分化に影響しているらしいことがわかってきたため、これらの条件をさらに細かく検討し、最適な培養条件を決定する。また同時に、肝由来前駆細胞と胆嚢上皮由来前駆細胞の違いについても発現遺伝子解析を通じて明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
当初当該年度の実験計画で新規増殖因子を使用した分化誘導実験、機能解析、肝障害マウス作成を予定していたが、計画の遅れのためこれらに関わる物品を購入しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記実験は次年度において遂行する予定である。
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