2016 Fiscal Year Research-status Report
肝虚血再灌流障害抑制/抗血小板作用を持つ薬剤溶出生体吸収ステント開発と肝移植応用
Project/Area Number |
15K10172
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
尾原 秀明 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (20276265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 健太郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70348671)
藤村 直樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (80445212)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生体吸収ステント / 門脈 / ミニブタ / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
シロスタゾール溶出生体吸収ステントの作成が困難であることから、ラットでの研究を並行してすすめることとした。シロスタゾールにて肝虚血再灌流障害を抑制する結果はすでに得ているので、次に生存率に着目した。 雄性Wistarラットを用い、肝の中・左葉のグリソン鞘を一括遮断し、60分間約70%の部分肝虚血を行った。その後に再灌流を行ない、肝虚血再灌流障害モデルを作成した。治療群とコントロール群の2群を作成し、前者は、シロスタゾールを肝虚血施行3日前から連日経口投与(20mg/kg)し、さらに肝虚血施行前30分にも投与した。また、後者に対しては等量の生食のみを同様に投与した。虚血180分後にラットを犠牲死させ、血液および肝臓を採取した。血中AST、ALTの測定に加え、サイトカインinterleukin(IL)-1βおよびIL-6濃度をELISA法により測定した。その結果、シロスタゾール投与は有意に肝虚血再灌流障害を抑制していた。本モデルで生存率の検討を試みたが、コントロール群で全例生存してしまったため、生存率のための虚血時間のoptimizationを行った。肝70%虚血を60分から90分に延長することで、コントロール群の一週間生存率が約50%となったことから、90分虚血モデルでシロスタゾール投与を行い、生存率を検討中である。 ラット肝移植モデルは、ドナーラットの手技は確立されてきており、レシピエントに移植肝をプットイン後、温阻血時間の短縮に努めている段階である。現在、温阻血時間は30分以上であり、さらなる修練を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シロスタゾール溶出性生体吸収ステントの作成は困難であることがわかってきた。また、ラット肝移植モデルの作成はいまだ継続中である。そこで、ラット虚血再灌流モデルでのシロスタゾールの生存期間延長効果をコントロール群と比較している。
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Strategy for Future Research Activity |
虚血再灌流モデルでの生存期間評価成績を検討しており、有意な結果を得始めている。ラット肝移植モデル作成は継続中である。シロスタゾール溶出性生体吸収ステントの作成は困難であることから、大動物実験では、ミニブタを用いて、シロスタゾール投与群での門脈狭窄抑制効果を検討する。当初の予定通り、いったん切離した門脈を再吻合したモデルを用いる。
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Causes of Carryover |
デバイス開発を中断し、小動物実験を中心に行っていたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物実験に生じる消耗品費、大動物の輸送費および維持費が主となる予定。また、情報収集のために学会参加および、実験助手の人件費。
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Research Products
(1 results)