2015 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌に対する抗腫瘍和漢薬の確立および臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
15K10181
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
塚田 一博 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (90171967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大永 崇 富山県工業技術センター, 中央研究所, 副主幹研究員 (10416133)
森田 洋行 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (20416663)
長田 拓哉 富山大学, 附属病院, 講師 (40303242)
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 大建中湯 / 食道癌 / 胃癌 / 大腸癌 / 乳癌 / 山椒 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : 抗腫瘍効果を目的とした漢方薬は未だ確立されておらず、副作用の少ない漢方治療の開発が望まれている。今回、我々は大建中湯(DKT)に、各種癌細胞に対する抗腫瘍効果が見られることを示した。さらに大建中湯の構成要素である山椒に抗腫瘍因子が存在する事を明らかにした。 研究計画 : 乳癌、食道癌、胃癌、大腸癌細胞株にそれぞれDKTを加えて1~72時間培養し、MTTアッセイを用いて腫瘍増殖抑制効果の測定をおこなった。また、癌細胞の形態変化について偏光顕微鏡を用いて解析した。動物実験としてヌードマウスを用いた胃癌腹膜播種転移モデルを作成し、DKTを4週間内服させた後に、腹膜播種転移個数について比較検討した。さらにDKTの構成成分である人参、山椒、乾姜についてそれぞれの抗腫瘍効果を比較検討した。 研究結果 : DKTには、他の漢方薬よりも強い抗腫瘍効果が見られた。DKTは乳癌、食道癌細胞に対して強い抗腫瘍作用を示した。一方、胃癌、大腸癌細胞に対する抗腫瘍効果は、比較的弱い結果であった。このとき、DKTを作用させた腫瘍細胞にはアポトーシスが誘導された。DKTを内服投与したヌードマウスモデルでは、胃癌腹膜播種転移個数が有意に減少した。またDKTの構成成分である山椒に強い抗腫瘍効果が認められた。以上より、DKTは抗腫瘍効果を示す漢方薬として、癌治療に対する有用性が示唆された。またDKTの構成成分である山椒に抗腫瘍因子が含まれている事が明らかとなった。
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Research Products
(2 results)