2015 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞を用いたファロー四徴症発生分化異常の解明
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15K10222
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 孝明 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10196834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千本松 孝明 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70216563)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ファロー四徴症 / iPS細胞 / 胸腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度研究実績として、ファロー四徴症手術により一部切離される胸腺組織(約10g程度)より線維芽細胞分別に成功した。組織を切離後直ちにcold PBSに浸漬し乾かないようにし、手術室より実験室に移送する。組織は安全キャビネット内で細切し、400㎎程度を10㎝細胞培養皿に接着させ20%FBS/DMEM+抗生剤を含む培養液で培養開始し、数代継代し完全に株化させ、total 1 x 107に到達したところで凍結保存しiPS細胞誘導用とした。エピソーマルベクターを用いた皮膚由来線維芽細胞を用いたヒトiPS細胞誘導では十分な経験があるため、それとほぼ同様の実験法にて誘導準備を進めているが、患者年齢も低くiPS細胞誘導の可能性は高いと考えている。ただし、極めて細胞の増殖能が高く、皮膚由来のそれと同じ細胞数で行うか否かは検討中であり、未分化細胞中に高発現する; C-Myc, Nanog, Jarid2, Prdm14, Sall4a, Essrb1, Lin28などの遺伝子導入も考慮中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胸腺組織(約10g程度)より線維芽細胞分別では、大きな問題は生じなかったが、培養液の選定で時間を要した。この間、得られた線維芽細胞の遺伝情報を元に間葉系細胞であることの確認を行い、iPS細胞誘導用として問題はないことを確認した。上述したように、まずは皮膚由来線維芽細胞を用いたヒトiPS細胞誘導を用いて行う予定だが、今までにない間葉系組織なので、分担研究者である千本松が最近成功した心臓由来線維芽細胞のiPS細胞誘導法も誘導候補の1つとして施行予定である。本年夏までに、iPS細胞誘導を実行し、iPS細胞作製を目指す。iPS細胞の品質確認は当然行われるが、可能であれば年度内中に、中胚葉誘導(心筋細胞群)を行い、ファロー四徴症発症メカニズムの確認を開始したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
先天性心疾患患者から作製したiPS細胞が疾患解析ツールとして極めて有用であることをこのプロジェクトで確認する。そのため、手術破棄臓器―線維芽細胞分別―iPS細胞誘導―分化誘導(中胚葉誘導)-心筋細胞群の遺伝子の検証法を確立させる。 そして先天性疾患を有した患者から誘導したiPS細胞と、先天性疾患を有さない患者より誘導されたiPS細胞の比較検討を行い、品質としてどのような差異を認めるか検討する。 同時にこのようなiPS細胞より分化誘導がかかるか否か(先天性心疾患より中胚葉誘導を検討課題とする。)も必ず行っていく検討課題である。
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Causes of Carryover |
分担研究者である千本松からの情報で、例え増殖性間葉系細胞であってもすべての細胞でiPS細胞誘導がかかるわけではないことが分かっているため、初年度は得られた胸腺由来間葉系細胞の品質確認に注力をした。元来、iPS細胞誘導関連の消耗品等ランニングコストは極めて高く、有効期限も比較的早いため、繰越金として28年度以降に使用することを決定した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
iPS細胞誘導法は、ほぼ確立しているので、本格的にiPS細胞誘導実験が始まる予定である。従って、繰り越された金額を含めて本年度は使用用途が増える予定である。
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