2017 Fiscal Year Research-status Report
Dual Energy CTとMRIによる腹部大動脈瘤破裂リスク評価法の開発
Project/Area Number |
15K10232
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 拓也 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (70579755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 均 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (00400333)
大田 英揮 東北大学, 大学病院, 助教 (40586905)
中村 保宏 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (80396499)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / SPIO MRI / 組織画像診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の腹部大動脈瘤治療ガイドラインによると、人工血管置換術やステントグラフト内挿術などの外科的治療の適応は、動脈瘤最大径や拡大速度に基づいている。これは、最大径や拡大速度と破裂リスクとの関連が示されたためである。しかしながら、拡大速度の予測は現状では不可能であり、大動脈瘤径が小さくても破裂に至った症例や、逆に大きな動脈瘤でも破裂せず経過する症例も認められることから、瘤径のみで手術適応判断を行うのは十分ではない。特に腹部大動脈瘤の多くは高齢者に認められるが、高齢者は手術リスクが高いため不必要な手術治療を回避するという観点からも、瘤径より正確に破裂リスク評価が可能な画像診断法の確立が望まれている。 本研究の目的は、3テスラMRIを用いて破裂リスクの高い腹部大動脈瘤の画像所見の特徴を明らかにすることである。そのため、本研究では、①腹部大動脈瘤の術前画像診断、②腹部大動脈瘤壁切除標本の採取、③腹部大動脈瘤壁の病理組織診断、④瘤壁の病理所見とMRI画像所見の対比を行い、病理組織所見をMRIにて画像化する事を第一に行う。MRI造影剤のひとつであるSPIO造影剤は時間をかけてマクロファージに取り込まれることが知られている。本研究はSPIO MRI画像と病理組織診断の相関を明らかにすることである。今年度は症例蓄積を行っている。術前にMRIを2日に分けて撮影し、術中に瘤壁採取を行い、病理標本のマクロファージの分布を調べ、MRI画像と対比している。病理標本とMRI画像には呼吸や心拍動によるアーチファクト、ホルンリンの固定など、様々な変形要素があり、両者の比較検討をおこなっているが、最終年度に間に合わず、延長申請をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今は解析の段階である。①術前に撮影したMRI画像、②標本のMRI画像、③固定後の標本を比べることを目標としている。これらはまったく同じ形にはなり得ず、①は体動、腸管運動、呼吸変動や心拍動による変形、②は標本周囲の液体の流動、③はホルマリン固定による縮小などの影響を受けている。これらの変形を是正し許容しながら解析を行っており、難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は蓄積した症例をもとに、解析を行い、結果を報告する予定である。 Dual Energy CTを術前にMRIと同時に行うことは患者負担、時間的に制限があり、SPIO MRIを軸として、研究を進めていく予定である。上記に記した単純比較できない影響をクリアするために、まず、標本のMRI画像と病理所見の比較を行い、結果が出たところで、術前MRIとの比較まで遂行したいと考えている。
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Causes of Carryover |
MRI撮像および、造影剤使用、病理標本作成に研究費の大部分を使用しているが、症例蓄積が予定よりも遅れているため、使用額に達しなかった。次年度使用額は、平成30年度の助成金と合わせて、病理組織評価のための染色費用、学会発表の費用として使用する計画である。
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