2015 Fiscal Year Research-status Report
メカニカルストレス応答因子に着目した新規大動脈瘤治療法の開発
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15K10242
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷山 義明 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄付講座准教授 (60372611)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大動脈瘤 / ペリオスチン |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈瘤は典型的なメカニカルストレスにより誘導される疾患である。我々はメカニカルストレスを負荷することによって線維芽細胞からペリオスチンという接着関連蛋白質が分泌されることを報告している。また、我々は臨床の大動脈瘤においても血管でペリオスチンが過剰発現されることを確認した。そこで、ペリオスチンの抑制が大動脈瘤の進展の抑制につながるか検討を重ねている。ペリオスチンにはスプライシングバリアントが存在し、各々機能の差異を確認している。ApoE KOマウスにアンジオテンシンIIを負荷するモデル、またはApoE KOマウスにニコチンを負荷した大動脈瘤を用いて研究を進めている。一方、喫煙者の禁煙の前後の血中をペリオスチンを測定し禁煙にて血中ペリオスチンが低下することを確認している。 しかし、すべてのペリオスチンを抑制するPNKOマスウでは動脈瘤モデルで拡大傾向を確認した。PNの抑制はTGF-βの抑制を介して動脈瘤を悪化させたと考えられる。この原因として生理的に発現するPN-4を抑制したことが考えられる。PN-4を抑制せず、PN-2を抑制したPN2KOマスウでは逆に、大動脈瘤の進展が抑制されていた。PN-4は生理的に発現しているだけなくTGF-bのシグナルを活性化に寄与しているが、PN-4を抑制せずにPN-2だけを抑制するとこの現象は起こらなかった、喫煙がアンジオテンシンIIによって上昇するペリオスチンはバリアント特異的に抑制することによって進展を抑制できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
6か月齢のApoEKOマスウにアンジオテンシンIIを持続的に負荷するモデル、あるいは6か月齢のApoEKOマスウにニコチンを負荷する大動脈瘤モデルを用いて実験をすすめている。ApoEKO/PNKOのダブルノックアウトマウスを作成し、大動脈瘤モデルに施行したところ大動脈は拡大する傾向をみせた。この原因としてPNの抑制がTGF-bのシグナルを抑制することによって動脈瘤が拡大したと考えられた。また、ペリオスチンには4つのスプライシングバリアントが存在し、特にPN-4は生理的に発現しているだけなくTGF-bのシグナルを加速することが報告されている。そこで、PN-4を抑制せずにPN-2を抑制するPNM2KOマウスを作成し、PN2KO/ApoEKOのダブルノックアウトマウスを作成すると逆に動脈瘤の進展が抑制されることを見出した。現在、この原因を解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は筋線維芽細胞、平滑筋細胞でぺリオスチンが発現していることを確認しているが、新たに肥満細胞にてペリオスチンが発現されていることを見出した。肥満細胞もまた大動脈瘤のリモデリングに大きな影響を与えていることが報告されており、ペリオスチンと肥満細胞の機能への影響を解析する予定である。また、レンチウイルスベクターを作成し、PN1-4までの遺伝子を導入する系を確立したので、各ペリオスチンバリアントと肥満細胞の機能との影響を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
研究は予定通り進んでいる。平成27年度の残高は、次年度の研究をより発展させるため、試薬の購入を充実させる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に引き続き、より充実した動物実験及び培養実験を行うための研究用試薬を購入する。
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