2016 Fiscal Year Research-status Report
メカニカルストレス応答因子に着目した新規大動脈瘤治療法の開発
Project/Area Number |
15K10242
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷山 義明 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (60372611)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腹部大動脈瘤 |
Outline of Annual Research Achievements |
腹部動脈瘤(AAA)は大動脈の病的拡張の末に破裂に到る致死性の疾患であるが、有効な薬物治療は未だ存在しない。我々はAAA病態では血管の血圧・壁張力に対する感受性が高まり、慢性炎症が持続することで血管リモデリングが進行すると考えている。一方、我々は心臓においてペリオスチン遺伝子(PN)がメカニカルストレスによって発現し、心拡大を誘導することを報告し、複数のマウスのAAAモデルでのPNの抑制による動脈瘤拡大抑制効果を確認している。本研究ではAAA病態におけるPNの機能を解析し、新しい治療起点を確立することが目的である。PNには4つのスプライシングバリアントが存在するが、生理的にはPN4が他のバリアントに比べて1000倍から10000倍多く発現していることが分かった。そこで、PN4を含めたすべてのスプライシングバリンアントを抑制するPNKOマウスに動脈瘤モデルを作成するとTGF-βが著明に抑制された結果動脈瘤はより拡大して大きくなることが分かった。しかし、この生理的にスプライシングバリアントであるPN4を抑制せずにPN1とPN2のみを抑制するPN1/2KOマスウを作成し動脈瘤モデルを作成すると動脈瘤は逆に縮小することがわかった。生理的なバリアントを抑制せずに病理的なスプラシングを抑制する意義があきらかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニコチン負荷大動脈瘤、ApoE KO /PNKO(DKO)マウスに、ニコチン(7mg/kg/day)を浸透圧ポンプ(Alzet:1006)を皮下に移植して、6週間持続投与を行う。体血圧は無麻酔で尾動脈を用いて毎週経時的に計測を行う。また、腎動脈上部の腹部大動脈の最大径を超音波装置(東芝)で毎週経時的に計測する。死亡例は剖検を行い、死因がAAA破裂によるものか検討を行う。結果としてPN2KOマウスではニコチン負荷大動脈瘤を抑制したが、すべてのPNバリアントを抑制するPNKOマウスでは逆に大動脈瘤は悪化した。
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Strategy for Future Research Activity |
禁煙外来を訪れた患者さんの血清を用いて、煙草の有無による血中ペリオスチン濃度の測定を進める。また、煙草の有無によって血中のmiRNAがどのように変化するのかを網羅的に解析する予定。
ニコチン負荷大動脈瘤モデルに関してはさらに数を増やす予定である。さらに、PN1KOマウスを用いて動脈瘤への影響も解析する予定である。
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Causes of Carryover |
研究は予定通り進んでいる。平成28年度の残高は、最終年度の研究をより発展させるため、試薬等の購入を充実させる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に引き続き、より充実した動物実験及び培養実験を行うための研究用試薬を購入する。
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