2017 Fiscal Year Research-status Report
体外臓器リカバリーシステムを用いた脳死分割肺移植の研究
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15K10257
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大藤 剛宏 岡山大学, 大学病院, 教授 (40452578)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | marginal donor |
Outline of Annual Research Achievements |
モデルの作成: 実際の成人脳死肺移植におけるマージナルドナーを想定し、様々な肺障害を実験動物で再現すべくモデルの作成を行った。具体的には①外傷性肺塞栓モデル②肺水腫モデル(心停止モデル)の作成を行った。それぞれ肺葉単位で行うため主な障害部位は下葉とする。実験モデルは、大動物(ブタ)を用いて行う。全身麻酔下に頭蓋骨内にバルーンカテーテルを挿入し、バルーン拡張により脳死モデルを作成した。①外傷性肺塞栓モデルでは脂肪塞栓が最も予後を悪くさせる要因であるためラードを用いて肺塞栓を作成した。注入は下葉肺動脈に行う。②肺水腫モデルでは下葉肺静脈遮断による肺静脈還流圧の上昇により肺水腫を作成した。それぞれの肺障害を加え、一定期間観察した。
体外臓器潅流: 脳死ドナーより摘出された肺は肺還流液にて肺動脈フラッシュし、一定期間冷保存し、その後肺動脈、左心房、気管にそれぞれ送脱血管及び圧モニターをカニュレーション後、体外再還流回路に接続。低流量より還流開始し、復温(36℃)したところで人工呼吸開始。回路内の酸素化された血液は膜型肺に窒素・二酸化炭素を流すことにより、安定した静脈血酸素飽和度(PaO2=60-70)を肺に送血する。還流液は高浸透圧のアルブミンベースのSteen solutionを使用した。測定は経時的に、動脈血酸素飽和度、肺血管抵抗、肺コンプライアンスを測定。それと同時に還流液、及び右肺組織をサンプリングし、後の生化学・病理学検査のため急速冷凍保存した。総還流時間は2時間とし、最初の2時間は30分毎、その後は1時間毎に各種測定を行う。生化学的測定はサイトカイン(IL-8, TNF-α、等)、フリーラジカル、肺内エネルギー(ATP),グルコース、そして血液ガス分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験にかかわる大学院生の移動に伴い、モデル作成後体外循環部分の研究遂行に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
体外循環装置を用いて肺グラフトのコンディションを整え、移植に適した状況を作り出すことを主眼に研究を行う。脳死マージナル肺(多発肺塞栓や肺水腫)の各肺葉での肺再生(移植に利用可能)の状態や、またその効果を検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
予定通り使用していたが、端数が生じてしまったため。次年度の論文掲載にかかわる費用として使用予定である
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Research Products
(2 results)