2016 Fiscal Year Research-status Report
原発性非小細胞肺癌における肺癌幹細胞および肺幹細胞遺伝子の意義の検討
Project/Area Number |
15K10262
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
波呂 祥 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90546558)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 哲三 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90419557)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 原発性肺癌 / 肺癌幹細胞 / 肺組織幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性肺癌は、それぞれ肺の中枢および末梢などに存在する肺組織幹細胞より発生している。再発や転移のメカニズムに癌幹細胞の関与が指摘され、その微小環境の解明が望まれる。近年、肺発生における肺幹細胞遺伝子が、肺癌の再発、転移のメカニズムに密接な関連性をもつことが示唆されている。肺発生時および成人肺障害時の肺胞上皮細胞の発生にHippo pathwayが、気道およびalveolar lineageにおいてはNotch signalが関与している。 H28年度はNotch1の免疫染色を施行した。以前の報告(Angela A. Stein hardt.2015)を参考に判定を行った。肺腺癌症例11症例で55%(6/11症例)、肺扁平上皮癌10症例で30%(3/10症例)、大細胞肺癌1症例で100%(1/1症例)、小細胞肺癌2症例で100%(2/2症例)でNotch1が発現していた。さらに全77症例(肺腺癌54症例、扁平上皮癌2症例、小細胞肺癌2症例、その他3症例)の5年生存率を比較した。症例は男性47症例、女性30症例、肺葉切除症例は65症例、区域切除術以下の症例は12症例であった。腫瘍径の平均は21.5±2.6mmであった。特にNotch1陽性症例では腫瘍径が26mm、Notch1陰性症例では腫瘍径は43mmと有意に腫瘍径が小さかった(p<0.01)。全77症例での5年生存率はNotch1陽性症例は予後は有意さはないが、良好の傾向(p=0.182)であった。肺葉切除術症例でも同様に有意さはないものの、予後が良好な傾向(p=0.14)であった。 今後は、無再発生存率や化学療法の治療効果を調べ、肺癌幹細胞遺伝子群、およびニッチェ関連遺伝子、Yap遺伝子に関しても検討が行う。原発性肺癌での組織型別の発現の有無、予後などを含めた解析を行い、肺癌のカテゴリーの構築を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、今回5年生存率を検討し、Notch1遺伝子タンパクが発現した場合、腫瘍径が明らかに小さいことが判明した。 ただし予後には有意さはなく、今後無再発生存率や再発後の治療後の治療反応などの検討が必要と考えられる。 以前のデータを使用しているため、5年生存率は判明したものの、無再発生存率などのデータに関しては、今後集積および解析を行う必要がある。さらに再発症例に限っての症例数を増やし、さらに免疫組織化学染色法を行う必要せいがあるため、進歩状況としてはやや遅れている状況と判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
早急にデータの解析を行うとともに、YAPなどの免疫染色を解析しする。それらのデータを合わせたのち、総合的かつ包括的な解析を行う予定である。
|