2018 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌における転移先臓器特異性決定遺伝子群による制御機構の解析
Project/Area Number |
15K10267
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
吉増 達也 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授
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Project Period (FY) |
2015 – 2018
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Keywords | 肺癌 / 遠隔転移 / 臓器特異性 / seed and soil theory |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌は多くの臓器に転移を来す. しかし全臓器に等確率に転移を来す訳ではなく, 転移の生じる臓器は症例により異なっている. 治療計画をたてる上においても, 個々の肺癌がどの臓器に転移を来しやすいか知ることは重要である. 我々はこれまでの研究で, ヒト肺癌培養細胞株を用いたin vitroでの多臓器転移モデルを開発し, マイクロアレイ解析を用いて転移先臓器の特異性規定遺伝子の複数の候補を同定した. マイクロアレイ解析はスクリーニングの手法であるため, 確定には検証実験の追加が必要である. 本研究では, これまでの我々の研究により同定された多数の候補遺伝子群の機能を, 有望と思われる遺伝子から順次解析を進め, 肺癌における転移先臓器特異性決定遺伝子を確定し, その機序の解明を行う. マイクロアレイで検討を行った28869遺伝子のうち肝組織において特異的増強を示したものが167遺伝子, 特異的な減少を示したものが45遺伝子で, うち最も強い変動はEDIL3の増強であった. EDIL3は肝細胞癌において腫瘍の増殖・進展に関与することが知られている. そこで, 遺伝子導入によりEDIL3を強制高発現させた安定細胞株PC-9/EDIL3を作成してヌードマウスに移植し, 転移能をoriginalのPC-9と比較した. 結果, 心腔内投与及び皮下投与(n=16)では, どちらの細胞も肝転移の形成は確認できなかった. 次に, 肝への直接接種(n=24)を行ったところ, originalのPC-9では生着が見られなかったが, PC-9/EDIL3においては, 接種後2 weekで4/6, 4 weekで5/6において腫瘍の形成が確認された. 肺癌の肝転移形成過程において, EDIL3発現は癌細胞が肝実質へ到達した後の生存と増殖・進展に関与していると推察された.
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] 肺癌肝転移における臓器特異性規定因子としてのEDIL3発現の関与2018
Author(s)
吉増 達也, 尾浦 正二, 川後 光正, 平井 慶充, 宮坂 美和子, 大橋 拓矢, 西口 春香, 矢田 由美, 青石 裕香, 房本 安矢, 西村 好晴
Organizer
第118回日本外科学会学術集会
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[Remarks]