2016 Fiscal Year Research-status Report
徐放化basic-FGF製剤の胸腔内投与による肺気腫に対する再生医療の臨床試験
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15K10269
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
川後 光正 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50644093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 泰彦 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (50211371)
吉増 達也 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60316099)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肺気腫 / 再生医療 / basic-FGF / Drug delivery system |
Outline of Annual Research Achievements |
肺気腫は進行性の肺胞んの破壊をきたす疾患であり,現在のところ,根本的な治療法はなく,対症療法のみが行われている.肺気腫の再生を目指した薬物療法の臨床試験はこれまで全てがnegative studyであった.我々は,徐放性basic-FGF製剤を胸腔内に投与することで気腫肺において肺胞の再生が得られることを動物実験にて証明し,すでに報告した (Kawago M, Yoshimasu T, Tabata Y, Yamamoto M, Hirai Y, Kinoshita T, Okamura Y. Intrapleural administration of gelatin-embedded, sustained-release basic fibroblast growth factor for the regeneration of emphysematous lungs in rats. J Thorac Cardiovasc Surg. 2014 May;147(5):1644-9.).現在はこの結果に基づいて臨床試験を行っている, 肺気腫を伴う気胸では肺実質の高度な破壊のため瘻孔が閉鎖せず難治性となりやすい.本研究は,瘻孔閉鎖の促進と再発の予防を目的とし,徐放性basic-FGF製剤を胸腔ドレーンより投与して肺実質を再生させる第II相臨床試験である. 希釈フィブリン糊注入療法 (Chest 2000; 117:790-5) が施行される高度の肺気腫を伴う難治性気胸患者が対象で,これまでの登録例は14例,徐放化basic-FGF製剤を加えた希釈フィブリノーゲン液を胸腔ドレーンから注入し胸膜面全体に塗布した後,トロンビン液にて固着させた.全例で気瘻は停止し再発なく胸腔ドレーンが抜去された.重篤な副作用はなかった.肺実質再生の効果は胸部CTのlow attenuation areaの割合 (LAA%)にて評価した.LAA%は治療前46.8±20.9%に対し治療後32.3±20.5%と有意(p=0.0215)に低下し,肺胞再生の可能性が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も登録症例があり,有効性を示唆する結果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
登録期間があと1年である.これまで通り,登録とデータ解析を進めていく.
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Causes of Carryover |
本年度の登録症例が予定より少なかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の登録症例の確保に努める.
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