2015 Fiscal Year Research-status Report
胸部悪性腫瘍に対する新規内視鏡的凍結融解療法の開発
Project/Area Number |
15K10273
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石角 太一郎 日本医科大学, 医学部, 講師 (60424488)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼田 実男 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60338803)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 凍結融解療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は中枢型肺がんや胸膜中皮腫などの胸部悪性腫瘍に対するスプレー式凍結融解療法を用いた新規内視鏡治療法の開発が目的である。 対象疾患は中枢型早期肺がん、進行肺がんによる気道狭窄、胸膜播種や悪性胸膜中皮腫などの各種胸部悪性疾患であるが、まず初年度は凍結融解療法の基礎的実験としてプローブ接触式とスプレー式による抗腫瘍効果の比較検討を行った。 C57BL/6マウスとLewis lung carcinoma (LLC) 細胞を用いて担癌マウスを作製し、7日後に、担がんマウスの腫瘍に対してFreezor + Cryoconsoleを用いてプローブ接触式凍結融解法を施行した。腫瘍径を計測しながら経時的に観察を行ったところ腫瘍の明らかな縮小効果を認めた。8病変中6例(75%)でPRを認めたが、その後うち2例(25%)で腫瘍の再増大を認めた。これまでの実験で治療開始時期に腫瘍径が8mm以上に達している腫瘍は凍結伝導が腫瘍の深部まで十分到達しないことが原因で再増大すると考えられたため、今回はそれらの腫瘍に対してさらに治療を追加した。治療時に8mm以上に達している腫瘍は3例認められたが、繰り返し治療することによりそのうち2例でPRを認めた。複数回治療することにより深部への抗腫瘍効果が確認できた。一方、スプレー式凍結療法はプローブ接触式と同様に8病変に対して治療を行ったが、8病変中3例(37.5%)にPRが認められたのみで、プローブ式と比較して治療効果は弱かった。 今後は治療回数と治療効果の関係をさらに検討する必要があると思われた。今回の成果は今後のプローブ開発や研究推進に非常に有用であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は研究計画で予定していたLewis lung carcinoma (LLC) 細胞担がんマウスに対する凍結融解療法をプローブ式とスプレー式に分けて施行し、抗腫瘍効果の比較検討を行った。しかしながら、今回の実験ではスプレー式の抗腫瘍効果がプローブ式と比較して小さかったため、さらなる至適条件等の検討が必要であると思われた。本年度末での進捗状況は研究全体として概ね当初の計画通り進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は内視鏡専用新規スプレー式プローブモデルの開発ならびにその有効性と安全性の検討を中心に研究を進める予定である。具体的にはまず、気管支鏡の鉗子口を介して効果的に凍結融解療法を行える内視鏡専用スプレー式プローブモデルを研究協力者と連携、協議しながら開発、改良する。続いて大腿部担がんマウスに至適条件下でスプレー式凍結融解療法を行い、内視鏡専用スプレー式プローブの有効性と安全性を検証する。大動物実験として、ブタの胸膜を対象に同法を施行し、効果と安全性を確認する。さらに気管支鏡の鉗子口を介して最も効果的に凍結融解療法を行いうる内視鏡専用スプレー式プローブモデルを開発、作製し、その有効性と安全性を検証していく方針である。最終年度にはFisher 344ラットを用いた悪性胸膜中皮腫モデルを作成し、中皮腫に対する抗腫瘍効果の評価を行い胸膜病変への応用の可能性を検証する予定である。
|