2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10294
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 洋次 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (80323682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成相 直 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00228090)
宮坂 尚幸 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70313252)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳血管障害合併妊婦 / MRI / Arterial spin labeling法 / モヤモヤ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではMRIを用いた脳循環計測法の一種であるArterial spin labeling(ASL)法を用いて、脳血管障害合併妊娠患者の脳循環動態を計測し、妊娠中の脳循環計測法を確立すること、および妊娠による脳血管障害悪化リスクの有無と程度を明らかにすることを目的としている。 平成27年度においては計9例の患者において12回のASL撮影を行った。3例では妊娠中および出産後にASL撮影を行い、両者の比較が可能であったこれまでに得られた結果として 1.妊娠中MRI撮影の安全性について 全例で妊娠中期および後期に撮影を行った結果、撮影中に有害事象は見られなかった。また全例で出生時に異常を認めなかった。これまでに3テスラという高磁場MRIで妊娠中のMRI撮影に対する安全性を検討した研究は極めて少なく、本研究結果を報告する意義はあると考えられる。 2.モヤモヤ病合併妊婦の妊娠中脳血流量変化について 疾患別ではモヤモヤ病妊婦が最も多く、ASL法は脳循環異常部位を鋭敏にとらえることが可能であった。また非妊娠例と同様に循環時間とpost labeling delayの影響を受けることが示された。モヤモヤ病合併妊婦においては妊娠中の脳血流量は非妊娠時と比較して低下の傾向を示し、中期よりも後期でその傾向は顕著であった。その原因は現在検証中であるが、これまでの報告と照らし合わせると、妊娠中の脳血管抵抗の低下による流速の低下が関与している可能性が考えられた。妊婦の脳循環を全脳に渡り詳細に解析した世界初の報告であり、学術的価値は高いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では3年間で20例程度の症例蓄積を予定していた。平成27年度は9例とおおむね予定通りの症例を蓄積した。また同一患者の妊娠中、出産後ASL撮影についても順次行っており、今後も順調に症例が蓄積されるものと期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらに症例を蓄積して 1.妊娠中のASL撮影について安全性を検証する 2.脳血管障害の疾患別に症例を蓄積し、症例による脳循環パターンの違いを検証する 3.脳血流値と臨床症状、血圧、血液検査データなど妊娠中の脳循環に影響を与える因子を比較して、妊娠関連脳血管障害のリスク因子について推察を行う 予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度は健常対照群の応募が少なく、撮影数が少なかったため予定額を下回った。また症例を蓄積するために時間を要して、学会発表の機会が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度以降は健常対照群の撮影を多数施行する予定(既に応募者は確保している)。また今後データ解析を進めるにつれて学会発表、論文発表が増えるため、その費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)