2016 Fiscal Year Research-status Report
RANK系シグナルをターゲットとした脳梗塞における新規炎症制御ペプチドの開発
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15K10300
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
栗波 仁美 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10638555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 宗尚 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (60422317)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Toll-like receptor / RANK / 炎症 / マクロファージ / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、MHP1の作用メカニズムの解析を行った。まず、MHP1の作用がRANKLの受容体であるRANKを介しているかの検討をおこなった。siRNAでRANKのノックダウンをRAW264.7細胞(マクロファージ)およびMG6細胞(ミクログリア)にて試みたところ、RAW264.7細胞でのノックダウン効率が70.8±8.3%と高かったため、RAW264.7細胞での検討を行った。RAW264.7細胞ではLPSによるIL-6、TNFαの発現がMHP1にて抑制されるが、RANKをノックダウンした細胞ではIL-6、TNFαの発現が抑制されておらず、MHP1の作用はRANKを介していることが明らかとなった。次に、RANK下流のNFκBの活性化を、NF-κBサブユニットp65のリン酸化で確認した。RANKLでは抗炎症作用を示す100 ng/mlで明らかなp65のリン酸化の亢進が認められることに対し、MHP1ではp65のリン酸化の程度が軽度であった。また、RAW246.7細胞を破骨細胞に分化させる系において、RANKLとMHP1による破骨細胞のマスターレギュレーターであるNFATc1 mRNAの発現を解析したところ、RANKLではNFATc1の発現が亢進するが、MHP1では発現が亢進しないことが明らかとなった。これらの結果は、MHP1の抗炎症作用は、RANKLとは異なり、RANK-NFkB、RANK-NFATc1以外のシグナルを介していることを示唆していた。 次に、MHP1がTLR4以外の炎症性サイトカインの発現にも作用するか検討を行った。TLR2/6のリガンドであるFSL1を用いた検討では、MHP1がIL-6、TNFαの発現を抑制することに対し、RAGEのリガンドであるS100βによる炎症性サイトカインの発現は抑制することがなく、MHP1の作用はTLRに特異的である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、MHP1の作用メカニズムについて、RANKLとの相違点を中心に明らかにできるとともに、MHP1の抗炎症作用がTLRに特異的である可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
MHP1の作用メカニズムをさらに解明するために、MHP1によるマクロファージあるいはミクログリアのM1/M2フェノタイプにたいする作用の解析を行う。また、抗炎症作用のシグナルについて、RANK-NFkB、RANK-NFATc1以外の経路として、過去の報告からはRANK-PI3Kの経路の関与の可能性が考えられるため、PI3 kinase inhibitorなどを用い、MHP1の抗炎症作用のシグナル解明を試みる。
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Research Products
(3 results)