2016 Fiscal Year Research-status Report
くも膜下出血後遅発性脳虚血のマーカー及び治療標的としてのmiRNAスクリーニング
Project/Area Number |
15K10314
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 里史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20383870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀口 崇 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70245520)
秋山 武紀 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90327528)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | くも膜下出血 / マイクロRNA / 遅発性虚血性脳障害 / Neurovascular Unit / 脳血管攣縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該施設において治療したくも膜下出血(SAH)患者7名とコントロール群としての未破裂脳動脈瘤患者4名から血液の提供を受け、RNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行い49種類のSAH群でコントロール群と比較して発現が1/4以下に低下しているマイクロRNAと27種類のSAH群においてコントロール群と比較して発現が2倍以上に上昇しているマイクロRNAを同定した。また症例数を増やし、SAH群11例、コントロール群7例として、RNAを抽出、マイクロアレイ解析から選んだ数種類のマイクロRNAに関して症例ごとの発現の解析を進めている(特にSAH群において発現が上昇していると考えられるマイクロRNAであるhsa-miR-451aは症例ごとの解析でもコントロール群と比較してSAH群で高い発現を認める症例が散見された)。一方、同定したマイクロRNAのin vivoにおける機能解析のために準備していたくも膜下出血モデルマウスに関しては解析の結果、モデルマウスのNeurovascular Unit(NVU)中で毛細血管基底膜とアストロサイトは形態学的にダメージを受けており、かつアストロサイトの足突起が毛細血管基底膜から剥奪している一方で、神経細胞自体のviabilityが保たれているにも関わらず神経機能障害を呈するSAHモデルマウスであることが明らかになった。本モデルにおいては神経細胞自体の障害を伴わない、NVU統合性の破綻が神経機能障害を呈しており、本モデルを検討することでNVUを標的とした神経保護治療の可能性を検討できると考えている。次年度は症例数を増やし症例ごとのマイクロRNA発現解析を繰り返しつつ、そこで選別されたマイクロRNAの機能実験を準備したくも膜下出血モデルマウスを用いて行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提供を受ける血液の数は順調に伸びており、他施設共同研究として更に症例数を増やせる可能性が現実味を帯びてきた。昨年度「今後の研究の推進方策」として記載した、くも膜下出血モデルマウスがどの程度ヒトのくも膜下出血後の虚血性変化を再現し得るかに関する検討も概ね終了し、順調な進捗状況と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
血液検体の提供を頂いた症例数が更に増えてきたので、これまでくも膜下出血群とコントロール群で発現に差を認める可能性があっても統計学的な有意差が出ていなかったマイクロRNAに関して再度の定量PCRを用いた検討を行うことを検討している。また昨年度安定して作成が可能となったモデルマウスにおいて当初の予定通りマイクロRNAの解析及び機能実験を行っていく方針である。
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Causes of Carryover |
追加で行う予定であった定量PCRを最近患者検体の集まりが良いため、まとめて行うことでコストカットとなることから次年度にずらしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通り定量PCRを行い検体毎のマイクロRNAの発現を解析する。
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