2016 Fiscal Year Research-status Report
悪性グリオーマの腫瘍内免疫におけるWntの役割解明と治療への応用
Project/Area Number |
15K10338
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
平野 宏文 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (00264416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 昭世 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50274064)
米澤 大 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (50550076)
内田 裕之 鹿児島大学, 附属病院, 特任助教 (80404482)
有田 和徳 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (90212646)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Wnt-5a / グリオーマ / 相互作用 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
NCBIのGEO データベースのグリオーマサンプルDNAアレイデータを用いた検討を行った. Wnt-5aのシグナル値に注目して3階層に分割し,Wnt-5a高発現(上位)と低発現(下位)を比較し,Wnt-5a発現と相関の高い遺伝子の抽出を行った.その結果高相関の遺伝子としてWnt-11,Wnt-5b,IL-6,IL-15,IL-23a,IL-32,TNFSF7,XCL-1,XCL-2,CXCL-1,CCL-5,CCL-20,CCL-26,MMP-1,MMP-2,MMP-12などが抽出された. グリオーマが放出するWnt-5aとPD-1,PD-L1など免疫チェックポイントとの関係を見るためRaw264細胞とヒト単球系培養細胞THP-1をWnt-5aで刺激し,IL-1,IL-6,ICAM-1,TNFα,PD-1,MCP-1などの遺伝子発現の変化をリアルタイムPCRで解析したが,著明な遺伝子発現の変化は認めなかった. グリオーマ細胞分泌物質によるマクロファージへの作用を解析するためにU251の培養上清でマクロファージ細胞株を刺激して各種サイトカインの遺伝子発現の変化をリアルタイムPCRで解析したところ, IL-1,IL-6,IL-8,ICAM-1,TNFα,MCP-1の遺伝子発現の変化がそれぞれ,35倍,5倍,25倍,45倍,40倍,20倍と著明に亢進していた.U251細胞とTHP-1細胞を共培養した培養上清でTHP-1を刺激すると上記の遺伝子発現や特にMMP-9の亢進が増強されることが明らかとなった. ①U251培養上清や②THP-1細胞上清,③U251とTHP-1共培養上清のサイトカインをQplexELISAシステムで解析した結果,③群でIL-1が10倍多量,IL-6が4倍,TNFαが10倍分泌され,検出されなかったIL-23が多量に分泌されていた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グリオーマが放出するWnt-5aがマクロファージに作用し,PD-1,PD-L1など免疫チェックポイントと関係するのではないかと想定していたが,実際に調べてみると,この関連は直接的には確認されず,研究の方向を再検討する必要があったため.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から,サイトカインカスケードの亢進には共培養時に分泌更新するIL-1やIL-23が関与する可能性が高いと考えられる. IL-1アンタゴニスト存在下で作製したU251培養上清でTHP-1細胞を刺激しするとIL-8,IL-23,TNFα,MCP-1,MMP-9の発現に変化がなく,さらに,IL-23中和抗体存在下にU251細胞培養上清でTHP-1細胞を刺激してもIL-8,IL-1,TNFα,MCP-1,MMP-9の発現に変化はなかった事からIL-1やIL-23が腫瘍細胞とマクロファージ間の情報伝達に関与していると考えられる. 今後は他の液性因子の作用を検討しながら,腫瘍細胞,マクロファージの相互作用と免疫との関係を調べていく.また,グリオーマ細胞の培養上清をカラムで分画して上記以外の細胞間情報伝達物質を同定することを検討している.
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Research Products
(2 results)