2016 Fiscal Year Research-status Report
悪性神経膠腫および腫瘍新生血管に対する複合的ペプチドワクチン療法の評価法開発
Project/Area Number |
15K10344
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植田 良 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (30317143)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 悪性神経膠腫 / 腫瘍抗原ペプチドワクチン / 免疫療法 / 脳腫瘍血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者らが併行して実施している悪性神経膠腫および腫瘍新生血管に対するペプチドワクチン療法臨床試験(3試験)被験者検体を用いて、免疫応答関連細胞・因子、また脳腫瘍血管新生および浸潤性関連因子について解析し、臨床的有効性との関連性を検証する。 (1)本年度は、(1)同ペプチドワクチン療法臨床試験被験者検体の収集と保存と、(2) 同臨床試験患者検体を用いた脳腫瘍血管新生・浸潤性関連因子、および免疫応答関連細胞・因子についての解析の実施、を計画していた。 (1)現在進行中の「進行あるいは再発神経膠芽腫に対する腫瘍新生血管関連遺伝子VEGFR1および VEGFR2ペプチドを用いたがんワクチン療法の第I/II相臨床試験」8症例、「進行あるいは再発悪性神経膠腫に対するがんペプチドカクテルワクチン療法の第I/II相臨床試験」13症例、および「初発悪性神経膠腫に対するがんペプチドワクチン療法の第I/II相臨床試験」5症例の被験者の検体および臨床情報を収集した。 (2)前年度に施行した、標準治療が施された悪性神経膠腫患者検体を用いた脳腫瘍血管新生・浸潤性関連因子、および免疫応答関連細胞・因子の解析を経て、本年度は進行中の臨床試験被験者検体を用いてこれらの因子について解析した。その結果、同ワクチン療法が標的としている抗原(VEGFRや神経膠腫関連抗原)を発現している細胞に対し有意に反応性をもつ細胞傷害性T細胞を検出し、同ワクチンが被験者体内にその特異的免疫を高頻度に誘導しうることを明らかにした。また、血清IL-8値が全生存期間と統計学的に関連していることを見いだした。「進行あるいは再発神経膠芽腫に対する腫瘍新生血管関連遺伝子VEGFR1および VEGFR2ペプチドを用いたがんワクチン療法の第I/II相臨床試験」については、これらの結果を含めて学術論文として投稿し、現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のごとく、本年度の目標に掲げていた計画を概ね遂行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 同臨床試験患者検体を用いた脳腫瘍血管新生・浸潤性関連因子、および免疫応答関連細胞・因子についての解析の実施 本年度に新たに収集された同ペプチドワクチン療法臨床試験(3試験)被験者検体を用いて、引き続き脳腫瘍血管新生および浸潤性関連因子(VEGF, sVEGFR1/2, bFGF, SDF1α, MMP, 循環コラーゲンIV等)について解析する。さらに、免疫応答関連細胞・因子について抗腫瘍T細胞の頻度、免疫促進性分子(IFN-γ, IL2, IL12など)免疫抑制性分子・細胞(TGF-β, IL10, VEGF, PGE2, PD-L1等の分子や、制御性T細胞(CD4+FoxP3+CD25+)、腫瘍関連マクロファージ(CD68+CD163+)等の細胞)についても解析する。 (2)解析した脳腫瘍血管新生・浸潤性関連因子、および免疫応答関連細胞・因子の動態と、臨床的有効性との関連性の評価 併行して実施中の各種ワクチン臨床試験(3試験)被験者検体における脳腫瘍血管新生および浸潤性関連因子や免疫応答関連細胞・因子の解析結果(測定値)を臨床的有効性(画像検査結果や生存期間等)との相関解析により、その重要性を明らかにする。また、標準治療が施された悪性神経膠腫患者検体における同項目の測定値とも比較し、標準治療に比した標準治療+各種のワクチン免疫治療の効果を評価する。 さらに、現在我々がその有効性を検証している悪性脳腫瘍新生血管を治療標的としたペプチドワクチン療法臨床効果と相関する腫瘍血管新生・浸潤性関連分子や抗腫瘍免疫調節細胞・分子を同定し、評価法が確立できた場合、本治療に対する治療反応性予測、治療効果が期待できる適切な患者選択、治療効果の早期判定に応用可能であるかどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
本研究には実施中の各種ワクチン臨床試験(3試験)被験者検体を用いて解析する研究が含まれており、それらは臨床試験の進行具合(特に被験者のエントリー状況)に依存する。そのため、当初の年度毎の計画に比して増減が見込まれる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、主として前述の同臨床試験に新たにエントリーした患者検体を用いた脳腫瘍血管新生・浸潤性関連因子、および免疫応答関連細胞・因子についての解析の実施のために研究費を使用する。 具体的には、各種のワクチン臨床試験被験者検体保管のための費用や、その検体を用いたELISPOT法とテトラマー法、フローサイトメトリー解析、免疫組織学的解析等の実施に必要な経費として、研究費を使用する。
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Research Products
(1 results)