2016 Fiscal Year Research-status Report
悪性脳腫瘍患者のQOL研究の確立と患者背景・治療がQOLに与える影響因子の解析
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15K10350
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
成田 善孝 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (40392344)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / 神経膠腫 / グリオーマ / quality of life / QLQ-C30 / BN-20 / KPS |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性脳腫瘍は未だに予後不良なものが多く、治療評価として全生存期間や無増悪生存期間が重要視されている。患者の主観的な概念であるquality of life (QOL)研究は、国内では我々以外にはほとんど報告が無いのが現状である。我々はこれまで、神経膠腫の長期生存患者では、再発によりKPSが損なわれ、QOLが低下することを報告した(JJCO, 2015)。また中枢神経系原発悪性リンパ腫患者では、高齢で再発歴のある患者では、白質脳症が進行し、それによってKPSが低下してQOLが損なわれることを報告した(Molecular and Clinical Oncology, 2016)。 膠芽腫患者は、化学療法期間中に早期に再発し、KPSの低下とともに治療の継続が困難な症例も多い。手術や化学放射線治療、腫瘍の局在による症状が膠芽腫患者にどのようにQOLに影響しているかについて今回検討した。 32人の膠芽腫患者を対象に、治療経過とKPSの推移・QOL変化について、経時的にEORTC QLQ-C30とBN-20を用いて評価した。KPS≧70の患者では、KPS≦60の患者に比べて、治療開始12か月の時点でGlobal health / Social functioningには差が無いものの、Physcal / Role / Emoitional / Cognitive functioningが低下していた。再発歴の有無でみると、治療開始12か月時点ではQLQ-C30スコアに差が無いものの、24か月になるとPhysical / Role functioningが再発患者では有意に低下していた。 膠芽腫患者においても、再発や治療の影響により、KPSの低下がQOLの低下に関与していることが示された。長期生存膠芽腫では、経時的な調査においてQOLは広い範囲で保たれていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでグレードII神経膠腫・中枢性神経系悪性リンパ腫について論文発表を行い、膠芽腫についても学会発表後、現在論文投稿準備中である。 外来等での患者からのQOLデータの収集もすすめており、今後も各種神経膠腫や、悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍についてもデータをまとめて発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
外来等での患者からのQOLデータは十分に蓄積しており、今後も各種神経膠腫や、悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍等の悪性脳腫瘍について、さらに詳細に解析予定である。 我々のデータをもとに、様々な臨床試験においても、前向き調査を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度も、当センターと大阪医療センターの患者のQOL調査を行い、データ解析を行った。平成29年度は、我々の施設以外でのデータ解析等も進める予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後多施設での調査を行うため、調査研究費等に使用する予定である。
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