2015 Fiscal Year Research-status Report
次世代拡散MRIおよび機能MRIを用いた言語機能獲得機序の解明
Project/Area Number |
15K10372
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
菅野 秀宣 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90265992)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 恵子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40407234)
中島 円 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50317450)
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60200177)
新井 一 順天堂大学, 医学部, 教授 (70167229)
青木 茂樹 順天堂大学, 医学部, 教授 (80222470)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 言語機能 / 機能MRI / 拡散MRI / reorganization |
Outline of Annual Research Achievements |
多読による英語教育を施された被験者を3群に分けて、fMRIとdMRIを用いて新たな言語習得時の活性化部位と脳内の構造変化部位を捕らえた。 本年度の被験者数は10名になっている。本研究では、英語文章の聴取課題を用いている。研究前の仮説では、Wernicke areaを中心とした領域にfMRIで活性化部位が集中し、言語機能習得が中途の際には周辺の言語関連領域も同時に活性化してくると考えた。さらにはそれらをつなぐネットワーク部位で白質のFA値が増してき、言語習得とともにFA値が低下してくるのではないかともいうものである。 fMRIデータの解析より英語習得度が低い群では、Wernicke area以外にBroca area、premotor area、temporal language area、primary motor areaに活性化部位を認める傾向にあった。一方、英語習得能力が高くなるにつけて活性化部位がWernicke areaに集約されてくることが観察された。 同様の研究を英語と日本語を話すbilingual被験者群でも行っている。実験件数は30例になる。この実験系においても英語習得度に差があるため、英語習得時の年齢により群を設定したところ、習得年齢が若い群では、多読法による習得度が高い群と類似した結果が得られた。 また、両研究対照群で共通している点としては、課題聴取時に復唱をしていた被験者ではより補足領域が活性化している傾向があり、それらは中等度多読者、後期英語暴露者で多く見られる傾向にあった。dMRI用のdata収集は多読群、bilingual群で同様に行っているが、関心領域をfMRIから求めた部位にした方が有意義になると思われたために、まずはfMRIの解析数を進め、関心領域を確定した後に個々の例と群間での比較を行うことにしたために保留にしている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多読法による被験者は対象の学力と年齢を一定にする為、当学看護学部学生を対象としている。本実験の可能日時が授業と重なることが多く、当初の予定よりも参加人数が限られてしまっている。そのため、bilingual群の被験者を集め、まずはbilingualによる解析を行うことにした。また、fMRIで一定数の解析を行った後に関心領域を設定しdMRIを行う予定としているために、dMRIの解析は保留にしている状態である。fMRIの解析と関心領域の設定は、bilingual被験者の結果から選定をし、解析を進める方針に変更した。多読群でのfMRIの例数が増えれば、多読群でも同様の傾向があるかの確認を行う。それにより関心領域を設定し直す必要があるかの検討を加える予定である。 並行して行った言語課題中の復唱については、音声学的観点より内的発話の状態に近いということが推察された。内的発話はある程度言語機能を獲得してきた際に見られる現象であり、primary motor areaやpremotor areaが関連しているとの報告がある。本研究で得られている多読法による中等度英語習得者やbilingual群での後期英語暴露者で同様の傾向があることより、内的発話のメカニズム解析にも応用し、解析を進める方針とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
多読法による被験者数が、研究日と合致しないことがあり、予定よりも例数が伸びていない。そのため、当学他学部の学生にも被験者を拡げて件数を確保することにした。その際には学力にばらつきが生じる可能性があるが、本研究は英語による言語課題であるため、TOFELの成績により群を分けることでばらつきを最小にすることを試みる。 今回追加をしたbilingualの被験者の方が数を増やすことができている。Bilingual被験者に関しては、英語暴露時期との相関が出そうである。さらには、日本語での課題を追加することで最も習得されている言語機能との比較を試みる計画としている。 dMRI解析用のワークステーションの整備が完了している。解析スピードを上げる目的で解析者の増やしデータ収集を加速させる様に変更を加える予定である。
|