2016 Fiscal Year Research-status Report
局所電場電位と単一細胞活動分析によるパーキンソン病のβ帯域オシレーションの解明
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15K10374
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 一太 日本大学, 医学部, 准教授 (20366579)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 脳深部刺激療法 / オシレーション / 微小電極記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病は大脳皮質-大脳基底核を中心とした運動制御機能に異常をきたした状態であるがその病態については不明な点が多い。パーキンソン病に対して行われる脳深部刺激療法の手術中に、電極留置部位の目標構造である視床下核を同定することを目的として微小電極を用いた脳深部の神経活動記録が行われる。微小電極記録では周辺構造に比較して背景活動の増大が視床下核では観察され、これを指標として刺入経路上で視床下核の背側境界および腹側境界を同定することができる。 本研究では、背景活動と同時記録された局所電場電位 (local field potentials: LFPs) からβ帯域のオシレーション活動を同定し、背景活動によって同定された視床下核内でのβ帯域のオシレーション活動を分析し、視床下核内と外でのβ帯域のオシレーション活動の分布を検討している。現在までに、6 側(4例)のβ帯域のオシレーション活動の分析を終えている。その結果、6側中3側ではSTN外よりもSTN内でβ帯域のオシレーションのパワー(βパワー)が有意に高値を示していた。3側で有意差がみられなかった理由として、STN腹側部のβパワーが亢進していない傾向にあるためと考えられたため、STN内でβパワーの最大値を示した部位を検討した結果、6側中5側でSTN内の背側部であった。STN内の背側部でβパワーが亢進している結果は運動感覚領域であるSTNの背側部でβ帯域のオシレーションが亢進しているという従来の報告と一致する結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に脳深部刺激療法の両側手術を行った4 例(計 8 側)から背景活動と同時記録された局所電場電位 (local field potentials: LFPs)のデータ収集を終了し、うち6側のLFPsのβ帯域のオシレーションの解析が終了している。その結果、β帯域のオシレーション活動は視床下核内の背側部で高いという所見が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、症例を蓄積し、1.視床下核内でのLFPsにより同定されたβ帯域のオシレーション活動、2.単一ニューロン活動の解析から得られるβ帯域オシレーション活動を呈するニューロン、3. 単一ニューロン活動とLFPsとのコヒレンス分析を行い、β帯域に高いコヒレンスを有するニューロン(β共振ニューロン)をそれぞれ同定し、その分布を比較する。
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Causes of Carryover |
解析装置の購入の遅れに伴い、解析装置に導入予定であった統計ソフト等の購入が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
統計ソフト等購入予定である。
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Research Products
(1 results)