2016 Fiscal Year Research-status Report
腱細胞培養系を用いた新規マイクロRNAの同定と腱細胞分化メカニズムの解明
Project/Area Number |
15K10396
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
林 正徳 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (20624703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 茂晴 信州大学, 医学部, 特任教授 (10242679)
加藤 博之 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (40204490)
植村 一貴 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (50624706)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腱細胞 / GDF8 / 筋芽細胞株 / miRNA / 標的遺伝子 / Smad7 / Tppp3 |
Outline of Annual Research Achievements |
GDF8(Myostatin)による筋芽細胞株C2C12の腱細胞分化誘導後5日目に発現が変化するmiRNAについてのマイクロアレイ解析では,miR-214とmiR-322を含む計8つのmiRNAの発現が分化誘導後に増加している事が確認され,データベース上での標的遺伝子の解析により,miR-214とmiR-322それぞれの標的遺伝子候補としてSmad7,Tubulin polymerization-promoting protein 3 (Tppp3)が検出された.リアルタイムPCRによる腱細胞分化誘導前後でのmiRNAと標的遺伝子の発現解析では,分化に伴いSmad7の発現が低下したが,GDF8による刺激の有無では発現量に差を認めなかった.一方,Smad7を標的遺伝子とするmiRNAのうち,miR-214のみがGDF8刺激時に発現が促進されることが確認された.しかしmiR-214の前駆体や特異的インヒビターを用いた実験では,いずれも標的遺伝子の発現ならびに腱細胞の分化における変化が検出できておらず,現在引き続き実験を行っている.またTppp3についてはノックダウンによる腱細胞分化への影響を調べるための予備実験を行っている. さらにGDF8による腱細胞分化誘導24時間後に発現が変化するmiRNAについてもマイクロアレイ解析を行った.その結果,GDF8により刺激した細胞ではコントロールと比較してmiR-351-3p, miR-675-3p, miR-206-3pの3つのmiRNAの発現が優位に低下していた.これらのmiRNAについて,リアルタイムPCRによる発現量の解析を行ったところ,miR-675-3p, miR-206-3pでマイクロアレイ解析と同様の発現変化が認められた.現在これらの2つのmiRNAについて,miR-214と同様の機能解析を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
先行研究において、GDF8による腱細胞分化誘導の際にALK-smad2/3シグナルが重要である事が証明されたことから,ALK-smad2/3シグナルの抑制蛋白であるSmad7を標的遺伝子候補とするmiR-214が腱細胞分化を制御している可能性が示唆され,miR-214に対象を絞り解析を行ってきた.しかしC2C12におけるSmad7の蛋白レベルでの検出に予想以上に時間を要してしまい,また分化誘導前後でのSmad7の発現量の変化や,機能解析実験における標的遺伝子の発現量および腱細胞の分化における変化などが未だ検出できておらず,これらの実験に予定以上の時間がかかっていることが,研究が遅れている主な要因となっている.また,腱細胞誘導24時間後のマイクロアレイ解析においても,当初行ったデータ解析では候補となるmiRNAが検出されなかったため,解析方法を変えて,改めて候補の絞り込みを行ったことが研究の遅れをきたした要因となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
miR-214と標的遺伝子候補であるSmad7については,引き続き各実験条件の検討を行い,GDF8刺激下での腱細胞分化との関連性について調査する.その結果,関連性が認められた場合は,レポーターアッセイによりmiR-214の抑制活性の測定と特異性の確認を行う.またもう一つの標的遺伝子候補であるTppp3については,発生段階において腱鞘滑膜に特異的に発現していることが報告されており(Staverosky JA, et al. Dev Dyn. 2009),腱細胞分化への関与が示唆されるが,その役割は未だ不明であることから,引き続きTppp3のノックダウンによる腱細胞分化への影響を調査する.さらにマウス腱断裂モデルを作成し,免疫染色により腱断裂治癒過程におけるTppp3発現細胞の局在を調べる.また腱細胞の分化マーカーであるTenomodulin,Scleraxisとの二重染色を行い,腱細胞分化との関連性を組織学的に評価する. 腱細胞分化誘導24時間後に検出されたmiR-675-3p, miR-206-3pについては,miR-214と同様,前駆体と特異的インヒビターを用いた機能解析を引き続き行い,腱細胞分化との関連性を調査する.さらに,関連性を認められた場合はレポーターアッセイを行い,その後順次ノックアウトマウス作成のための準備を行う. 以上より得られた結果は,日本整形外科学基礎学会ならびに米国のOrthopaedic Research Society(ORS)において発表し,論文作成の準備を進める.
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Causes of Carryover |
miR-214とSmad7の実験に時間を要してしまったことから,Tppp3の機能解析が進んでおらず,同実験に使用する予定の試薬類を一部購入していないため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成29年度請求額と合わせて,Tppp3の機能解析に使用するとともに,消耗品費として使用する予定である.
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Research Products
(1 results)